父の前では贅沢できず〈タンス預金1,000万円〉をせっせと貯めた70歳母…父亡き後、様子が激変。40歳娘が目を疑った、実家にある「ネズミ色のスーツケースの中身」【FPの助言】
「1,000万円」あるはずのスーツケース、開けてみると…
久しぶりに娘がHさんの家を訪れました。娘の気がかりはあのネズミ色のスーツケース。母親が夕飯の買い物に出かけているあいだに、そっと覗いてみました。 以前は1,000万円だったけれど、少しは減っているだろうな、そう思っていた娘は目を疑います。なんと、スーツケースの中には小銭が散らばり、ほとんどのお金がなくなっていたのです。 帰宅した母に、娘は詰め寄ります。「自分のお金だからといっても、いままでコツコツ貯めたタンス預金をたった1年でいくら使ったの?」 母は娘の問い詰めに戸惑いながら、「お父さんが生きていたころは、お金を自由に使えなくて、唯一、生活費で残ったお金を貯めるのが楽しみだった。おしゃれも旅行も行く機会がなかったから、今回、シニアクラブに入って知り合った人たちから誘いを受けたら嬉しくなって散財してしまった」とのこと。 初めての自由に、楽しさのあまり「いまだけ、いまだけ」といままで我慢してきたことがあふれ出るように使ってしまったとのことです。
夫婦がおひとりさまになってからのマネープラン
人生100年とするならば、高齢期のライフプランの転換期は、定年退職や介護が必要になるタイミング、さらにはHさんのようにおひとりさまになるタイミングが考えられます。 また、収入のない専業主婦が貯めたタンス預金は税務調査などにより、あとから税金の追納をもとめられることもあるため、この点でも注意が必要です。 家庭、特にお金に関する悩みは、なかなか人に相談できないという人もいます。家族がこまめに連絡をとったり、訪問したりすることで、いままでと違ったサインを見逃さずにリスクを回避することも可能です。もしくは定期的に専門家に相談することも一案でしょう。 三藤 桂子 社会保険労務士法人エニシアFP 代表
三藤 桂子