大迫の東京マラソン途中棄権で半年後の東京五輪代表決定レースMGCはどうなる?
バイクでレースを追いかけながらペースメーカーに指示を与えていた早野忠昭レースディレクターは、「スタート時よりも寒くなり、手先、足先から冷えてくるのを感じました。もう少し気候が良ければいいタイムが出た。悔しい思いです」と話した。 前回は14人がサブ10を達成したが、今回はわずか4人。上位勢のタイムが気象条件の過酷さを物語っている。 日本陸連の瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、「大迫、中村、佐藤の3人は、思うような結果は得られませんでしたが、今回のチャレンジは今後に生きてくると思う」と“積極レース”を評価した。しかし、この1年で日本記録を二度も塗り替えるなど、勢いに乗っていた日本勢にとっては寂しい大会になった。 それでもMGC出場資格獲得者は4人増えて28人に。女子(9名)と比べて、順調にファイナリストを伸ばしている。では、9月15日に行われるMGCはどうなるのか。 昨年10月のシカゴで大迫が2時間5分台に突入した時点では、日本記録保持者の大迫、昨年の東京を16年ぶりの日本記録(当時)となる2時間6分11秒で走破した設楽悠太(27、Honda)、同レースを2時間6分台で走り、ジャカルタ・アジア大会で日本勢32年ぶりの金メダルを獲得した井上大仁(26、MHPS)が“3強”といえる状況だった。しかし、その後は雰囲気が少し変わってきた。 昨年12月の福岡国際で服部勇馬(25、トヨタ自動車)が設楽を突き放して、2時間7分27秒で14年ぶりの日本人V、今回の東京は大迫が途中棄権。理由はともあれ、新旧の日本記録保持者に先着する日本人が現れている。日本マラソン界に“絶対王者”といえるランナーはいないのだ。なおMGCでは、以下の順番で日本代表が内定する。 (1)優勝者 (2)2位または3位のうち2017年8月1日~2019年4月30日までに「MGC派遣設定記録」(2時間05 分30 秒)を突破した最上位者 (3)「MGC派遣設定記録」を突破した者がいない場合は2位の選手 (4)MGCファイナルチャレンジにおいて、「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録」を突破した記録最上位の選手 (5)選考基準(4)を充たす競技者がいない場合、選考基準(2)を充たしていないMGC2位または3位の選手 MGCが終了した時点で東京五輪代表のうち2枠が自動的に代表に内定。残り1枠は、MGCファイナルチャレンジを経ての決定となる。福岡国際(19年12月)、東京(20年3月)、びわ湖(20年3月)が対象レースで、MGCファイナリスト決定後、強化委員会にて設定される「MGCファイナルチャレンジ派遣設定記録」(19年5月発表予定)を突破した上位1名が最後の代表枠を得ることができる。“一発逆転”の余地を残しているとはいえ、同派遣設定記録は日本記録に近いタイムが予想されており、MGCで「3位以内」に入った選手が、そのまま日本代表に選出される可能性が高い。