大迫の東京マラソン途中棄権で半年後の東京五輪代表決定レースMGCはどうなる?
有力選手の今後は、井上が4月のボストンに出場予定で、設楽悠太も海外レースに参戦するプランを持っている。大迫と服部はMGCまでマラソンの予定はない。 東京マラソンはMGCとコースの一部が重なっており、MGCの“下見”を兼ねて出場していた選手も多い。しかし、MGCはペースメーカーがつかず、今度は「暑さ」のなかでの戦いとなる。今回の東京とは状況がかなり異なる。 MGCの戦いを予想すると、スローペースで進み、後半以降のスパートで順位が決まるようなレースになると考えていい。順当なら大迫、設楽、井上、服部の4人が上位候補。今回の東京で攻めのレースを見せた中村匠吾と佐藤悠基、シカゴで2時間7分台をマークしている藤本拓(29、トヨタ自動車)もおもしろい存在だ。東京で日本人トップに輝いた堀尾は、「MGCに関しては、ワンチャンかなと思っていたので、とれたことには驚いています」と語ったが、MGCでも意外な伏兵が現れても不思議はない。 一方、注目を集める存在になった大迫や設楽の重圧は大きく、それがハンデとなる可能性もある。2002年10月のシカゴで2時間6分16秒の日本記録(当時)を樹立した高岡寿成もプレッシャーに敗れた。翌年12月の福岡国際では、優勝した国近友昭と2位の諏訪利成にわずかに及ばず、3位(2時間7分59秒)に終わり、アテネ五輪代表を逃しているのだ。 マラソンは自然との戦いでもある。東京は「寒さ」が難敵となったが、MGCは「暑さ」がライバル。夏マラソンを経験している選手は多くなく、大迫、設楽といえども絶対優位とはいえない。今後は「タイム」ではなく、選手たちはMGCで“勝つ”ための戦略を考えていくことになる。東京五輪への道は、まだまだ波乱がありそうだ。 (文責・酒井政人/スポーツライター)