NY地下鉄新型電車、日本では当たり前の「初採用」とは? 川崎重工製、納入後にはシェアで圧倒的首位に「鉄道なにコレ!?」【第48回】
「Open Gangway」を和訳すると「開放された通路」の意味になる。車両同士の連結部分に周囲を覆った通路の連結幌を設け、乗客が行き来できるようにした構造だ。日本では2両以上つないだ旅客列車で広く採り入れられている。 一方、ニューヨークを含めた米国の地下鉄車両の多くは連結部分に非常時の脱出用扉を設けており、通り抜けを禁じている。ところが、勝手に開けて隣の車両に移る乗客もいるため転落事故も懸念されてきた。 そこで、連結幌を設けることで安全を確保するとともに、乗客は混雑した車両から移動したり、別の車両からも降車したりできるようにする。ニューヨーク市交通局のリチャード・デイビー総裁は「利用者はより迅速に乗り降りできるようになり、それは大変重要なことだ」と期待する。 ▽触発されてワシントン地下鉄も採用 日本の旅客列車では連結幌に接した車端部に扉を設けている場合も多いが、ニューヨーク地下鉄のオープンギャングウェイは同じ編成の5両にわたって扉を設けない開放状態となる。
この構造の車両は基本契約の535両のうち計20両だけとなるが、MTAは「試験運転の結果が良好だった場合などには追加導入を検討する」と説明している。 さらに、ニューヨーク地下鉄に触発され、ワシントン首都圏交通局は地下鉄の次世代車両で「トップの肝いりで同じオープンギャングウェイを採用することになった」と明かす。 ワシントン地下鉄では日立製作所のグループ会社が受注した次世代車両「8000系」のメーカー選定を巡って激しい駆け引きがあり、水面下では中国メーカーが「ダンピング(不当廉売)と受け止められるような安値で受注をたくらんでいた」(関係筋)という。日立が選ばれるまでの舞台裏を次回ご紹介したい。 ※「鉄道なにコレ!?」とは:鉄道と旅行が好きで、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」の執筆者でもある筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。ぜひご愛読ください!