横浜DeNA三浦監督の“タブーなき大胆采配”が呼んだサヨナラ劇…相性悪い宮崎を先発から外して“天敵”青柳攻略
横浜DeNAの大田泰示(32)が9日、横浜スタジアムで行われた阪神戦で5年ぶりのサヨナラヒットを放った。チームは3-2で勝利。2位の阪神に0.5ゲーム差と迫った。三浦大輔監督(48)は、3連敗中の青柳晃洋(28)対策に左打者を並べ、相性の悪い打率リーグ2位の宮崎敏郎(33)をスタメンから外すというタブーなき大胆采配。その宮崎が代打起用された9回に申告敬遠されサヨナラの舞台を作った。両チーム共にミスが出て、流れが二転三転するゲームだったが9回4安打2失点完投の今永昇太(28)の好投が勝利を引き寄せた。今永は今季対阪神初勝利で6勝目。
大田が5年ぶりの代打サヨナラヒット
豪華な代打陣が残っていた。 2-2で迎えた9回。阪神は、疲労を考えベンチから岩崎を外していたというチーム事情があり、浜地―湯浅とつなぎ、4番手に加治屋をマウンドに送っていた。代役守護神のケラー投入はリードしてからがセオリーだが、疑問の残る加治屋の選択だった。 先頭の楠本が四球を選ぶ。代走に蝦名。続く嶺井にはバントさせたが、ピッチャ―前に転がした打球は死んでいたように見えたが、果敢に二塁送球を試みた加治屋にアウトにされたのである。だが、三浦監督はぶれない。一死から宮本に再びバントを命じた。切り札2枚にかけるつもりだった。二死二塁となって、代打・宮崎を送るが、当然、阪神ベンチは申告敬遠である。 ネクストバッターズサークルにいた代打の大田は「宮崎さんが申告敬遠されるのはわかっていたので、なお緊張した。とにかくバットに当てて前へ飛ばすことだけを考えていました」という。 その初球。加治屋のフォークはワンバウンドになり梅野が後ろへ弾く。二塁走者の嶺井が三塁へ進み、前進守備を敷いていた阪神の外野陣は、後ろへと下がった。 「嶺井の足ならワンヒットでどうかなと思っていたが、三塁にいけたことでプレッシャーも軽くなった」とは、三浦監督の回顧。 互いに致命的なミスを重ね、“勝利の女神”は、どっちに微笑もうかと右往左往していたが、もう一塁ベンチの方角を向いていた。 「ツーアウトだし甘い球は少ない。集中して打てる球を仕とめるだけ」 2球目の外角カットボール。食らいついた打球が三遊間を抜けていくと、大田は右腕を突き出しながら一塁へ走り出した。巨人から日ハムに移籍した初年度のロッテ戦で放って以来5年ぶりのサヨナラ打。 「レギュラーとして出れていない。信頼を得るために、ひとつでも多く貢献してチームの順位をあげて、自分の価値をあげていきたい」 今季は、2度怪我で登録抹消され、レギュラー定着の機会を逃している大田にとってもアピールとなる意義のある一打となった。 今季3連敗中の“天敵”青柳対策に三浦監督は「違うことをしないといけない」と大胆な采配をふるった。 守備力で外せない桑原と、対青柳に通算打率.313の4番の牧を除いてズラリと左を並べ、打撃十傑の4位につけている3割打者の宮崎をスタメンから外したのである。対青柳に通算打率.159。試合前に三浦監督は宮崎に「途中からいく。しっかり準備していてくれ」と説明したという。 佐野、牧、宮崎の主軸3人は、ここまでの対戦成績が悪かろうが、怪我やよほどのスランプでもない限りスタメンから外してはならない選手である。だが、番長采配にタブーはなかった。