「議員定数削減」って今どうなっているの? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
2014年4月1日から消費税が8%へと上がりました。これは民主党の野田佳彦政権が、本来は首相と対決する側にいた野党の自民・公明両党と結んだ「3党合意」により2012年8月に成立した増税法などに基づきます。その際に野田首相は「近いうちに国民に信を問う」と約束したので、その年の11月、党首討論で安倍晋三自民党総裁が追及すると野田首相が衆議院の議員削減など国会議員も「身を切る改革」を成立させると約束するならば解散すると断言、安倍総裁も原則「やろう」と応じた経緯があります。片方の増税だけやって「身を切る改革」はいまだ具体化していません。 冒頭の「3党合意」は「次期(2013年1月)通常国会終了まで」に定数削減を含む選挙制度改革をすると文書まで交わしています。それが2014年4月になってもなされていないのは明らかな怠慢ともいえましょう。
各党はどんな案を出しているのか
では各党の提案をみていきます。党名の後に国会での勢力(当選時点)を併記しておきました。「過激」な順に並べてみます。なお衆議院の定数は最新の総選挙で用いた480で計算しました(四捨五入)。
■衆議院
《1位》みんなの党(衆院3.8% 参院7.4%)=180人削減 ・選挙制度は「完全一人一票比例代表制」で今の衆院比例代表区のブロック11ごとに各党が名簿を出し、有権者は政党名か候補者名を書く。集計は全国で得票率で各党の議席を決める各党内の議席配分はブロック単位の得票率に応じる 《2位》日本維新の会(衆院11% 参院3.7%)=144人削減 ・小選挙区定数を295から240人、比例代表数を180から96人とする 《3位》生活の党(衆院5% 参院1%)80人削減 ・比例代表180人を100人に減らす 《4位》民主党(衆院12% 参院24%)80人削減 ・小選挙区30人、比例代表50人の合計80人を減らす 《5位》自民党と公明党の合意案(両党合わせて衆院68% 参院56%)30人削減 ・比例代表を180から150人とする。うち90人は今と同じ形式のドント式。60人はブロックの得票数が比例2位以下の政党に得票数に応じてドント式 《圏外》日本共産党 社民党(合わせて衆院2% 参院6%)=削減反対