「議員定数削減」って今どうなっているの? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
■参議院
《1位》日本維新の会=廃止も ・廃止も視野に(憲法改正が必要) 《2位》みんなの党=100人削減 ・憲法を改正して衆参両院を統合した定数200人の一院制を将来的には目指す 《3位》民主党=40人程度削減 他党は公式文書で言及がないか削減そのものに反対と読めるかのどちらかです。
「小選挙区」を削りたい民主など5党
というわけで参議院はともかく衆議院は数の差こそあれ、共産・社民両党以外は少なくとも30人以上は減らすという方向にあるわけです。実はこれとは別に「野党5党案」というのもあります。民主、日本維新の会、みんな、結い、生活の5党で次のようなもの (案1)衆議院小選挙区「5増30減」 (案2)衆議院小選挙区「3増18減」 比例代表は小選挙区との比率3対2に「配慮する」としました。「案1」「案2」ともに計算上は現行の比例180が維持されます。 維新やみんなの独自案、また民主党独自案に比べても削減数が微温的なのがわかります。これは民主以外の4党が比例で勝ち抜いている数が小選挙区より多いため、民主が配慮したからと推測されます。維新、みんな、生活の当選時の比率は小選挙区1に対して比例4です。民主も直近の衆議院選挙こそ比例が小選挙区を上回りましたが、長らく自民党と小選挙区を取り合う存在でした。したがって「減らすならば小選挙区の方だ」というのが都合がいいのです。
「比例」を削りたい自公
対して自公案は比例のみ30減。これは自民党が小選挙区8に対して比例1と圧倒的に小選挙区で取っているので都合がいいからです。連立を組む公明は小選挙区2に対して比例3の割合。ただ自公は公明党の最大の支持母体である創価学会が自民党の小選挙区候補を応援する代わりに公明がぜひともほしい小選挙区(10程度)では自民が候補を立てないという選挙協力がガッチリ組まれているので大勢に影響がありません。 もっとも比例を2つに分けて150人のうち60人を「得票数が比例2位以下の政党に得票数に応じてドント式」というのは極めてわかりにくい。そもそも現在の比例のあり方である「小選挙区との重複立候補可。同一名簿順に並ぶのも可。その場合の当落は小選挙区における惜敗率」という制度自体難解なのに、さらに「比例2位以下の政党」(自民党的には1位は自分で2位は公明党のつもりでしょう)で分けるとなると誰にもわからない制度になります。 要するに削減自体反対の共産、社民両党を除くと、民主を含む5党が「小選挙区を主に削れ」で自公が「比例を主に削れ」で折り合うのは難しそうです。