エヌビディア、8~10月期最高益も売上高伸び率徐々に低下…トランプ新政権で高関税対象なら打撃
米半導体大手エヌビディアが20日発表した2024年8~10月期決算は、売上高、最終利益とも四半期として過去最高となった。生成AI(人工知能)ブームを追い風に時価総額が世界1位になるまで成長したが、売上高の伸び率は徐々に低下している。米国のトランプ次期大統領の政策次第では、成長がさらに鈍化する可能性もある。(ニューヨーク支局 小林泰裕) 【写真】独特な形状のエヌビディア本社
エヌビディアは、生成AI向け先端半導体で世界シェア(占有率)の約8割を握る。24年8~10月期の売上高は350億8200万ドル(約5・5兆円)で前年同期の1・9倍、最終利益は193億900万ドルと2・1倍に膨らみ、ともに市場予想も上回った。生成AIのデータ処理などを行うデータセンター向けの売上高が2・1倍の約308億ドルに伸びた影響が大きい。生産の遅れが懸念されていた生成AI向け新型半導体「ブラックウェル」の販売も、想定より好調だという。
24年11月~25年1月期の売上高は、前年同期の1・7倍の約375億ドルに達する見通しだ。米モルガン・スタンレーは20日、「ブラックウェルの増産により、さらなる成長が期待される」と評価した。
ただ、24年5~7月期までの1年間は、四半期の売上高が前年同期の2・2~3・7倍に伸びていた。市場では成長減速が嫌気され、エヌビディア株は決算発表後の20日の時間外取引で一時、3%超値下がりした。
今後の業績にはトランプ政権の政策が影響しそうだ。
エヌビディアは自前の工場を持たず、台湾積体電路製造(TSMC)などに半導体の生産を委託している。売上高の4割を米国が占めるが、生成AI開発をリードする米国のIT大手には、主にTSMCの台湾工場で生産された半導体が輸出されているとみられている。
トランプ氏は自国産業の保護のため、輸入品に高関税をかける方針で、エヌビディアの半導体が対象になれば業績への打撃となる恐れがある。中国への先端半導体の輸出規制が強化される可能性もある。野村証券の大坂隼矢氏は「バイデン政権は台湾を重視していたが、トランプ氏が台湾をどう評価しているか不透明な面がある」と指摘する。