今日ポーランド戦。守備のキーマン昌子源を支えるリバウンドメンタリティー
日本が攻撃をビルドアップする際にも、吉田や長谷部誠には厳しくプレスを掛けず、昌子の方へパスを出させるように誘導し、ボールが昌子に渡った瞬間、プレスを掛けて奪おうとした。 だが、25歳のセンターバックは落ち着いていた。 「自分でもすぐに気づいた。19番(ニアン)は俺の方にいたのでヘディングする機会が多かったし、ここで俺が起点を作らせたら、相手の思うツボかなって。自分のできることを精一杯やった。(ビルドアップでも)ハセさんや麻也くんがボールを持った時に、俺のほうにどうぞ、みたいにやっていた。そこで冷静に、ああ、俺かって受け止められたのがよかった。そこで消極的なパスをするといけないなと思って、強気に縦に入れていこうと思っていた」 次第に昌子が制空権を握るようになると、イライラを募らせたニアンは後半、長谷部や昌子に対して肘打ちや手のひらで顔面を殴打して警告を受け、ポジショニング自体も吉田のほうへと逃げていく。ニアンとの勝負は、昌子の完勝に終わったのだ。 ワールドカップ初出場とは思えないほど落ち着いたプレーを見せている昌子だが、これまで日本代表で確固たる地位を築いていたわけではない。 2014年11月に初めて招集されたが、代表デビューは2015年3月まで待たなければならず、その後もコンスタントに招集されたわけではなかった。 アジア最終予選の途中で、不調の森重真人に代わって吉田のパートナーに抜擢されたが、予選が終わると槙野智章にポジションを奪われた。今年4月に西野朗監督が就任しても、当初は立ち位置に変わりはなく、5月30日のガーナ戦、6月8日のスイス戦ではベンチスタート。だが、本大会前最後のテストマッチとなった12日のパラグアイ戦でのプレーが評価され、コロンビア戦でのスタメンの座を射止めるのだ。 オーストリア・ゼーフェルト合宿が始まったばかりの頃、昌子が自身の代表キャリア、選手キャリアについて、こんな風に言っていた。 「僕のサッカー人生はいつも悔しい思いをしていて、一気に二段上がったことはないですし、一気に二段落ちることもあった。でも、そういう経験が間違いなく僕を強くしてくれている。そういう経験があったから今、23人に選ばれてここにいるのかなって」 ガンバ大阪のジュニアユースからユースに昇格できず、鹿島に加入してからも3年間はレギュラーポジションを掴めず、年代別代表で国際大会を戦ったこともない。リバウンドメンタリティー、反骨心、雑草魂……。昌子にとっていつだって、理想の自分とのギャップに対する悔しさが、成長の肥やしとなってきたのだろう。