「健康保険証」廃止期限は12月2日 医療現場で「マイナ保険証」のトラブル相次ぐ中“一本化”は拙速か【大石邦彦が聞く】
あなたは「マイナ保険証」に切り替えましたか?多くの人は、これまで通り「健康保険証」を利用しているのではないだろうか? 【写真を見る】「健康保険証」廃止期限は12月2日 医療現場で「マイナ保険証」のトラブル相次ぐ中“一本化”は拙速か【大石邦彦が聞く】 マイナ保険証の利用率は9月時点で13.87%と低調だからだ。しかし、12月2日には、現行の健康保険証の発行は終了し、原則マイナンバーカードで保険証を利用する仕組みに移行する。 この現状に待ったをかける発言をしていたのが石破茂総理だ。正確には自民党総裁選当時の石破候補だ。時期には大きな意味がある。総裁候補の時は「期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然だ」と、当時の政府方針に異を唱えたからだ。納得と共感がモットーの石破さんらしい発言だった。 この言葉の裏には、医療機関などから数々の問題点の指摘があったことは容易に想像がつく。愛知県の保険医協会を取材すると、マイナ保険証一本化は拙速すぎるのではないか?そんな印象を持たずにはいられなかった。 ■認証エラーで“健康保険証”を自宅まで取りに… 保険医協会は開業医らが所属している団体で愛知県だけでも9000人以上、全国では10万人を超える会員によって構成されている。開業医にとって、健康保険証の利用は日常であり、そこでのトラブルは死活問題。しかし、そのトラブルの報告が全国の開業医から多数報告されているというのだ。 今年5月からマイナ保険証について全国保険医団体連合会がアンケート調査をしたところ、実に7割の医療機関において、オンラインでの資格確認でトラブルなどがあったという。最も多いのがマイナ保険証を読み込むカードリーダーで「●」が出る不具合だ。 例えば、名字が常用漢字ではない「髙」橋さんの場合は、「●橋」と表記されるし、カードリーダーの接続、認証エラーなどもあったようだ。ちなみに「●橋」となれば、入力を手作業でやり直す手間がうまれる。 また、カードリーダーは立ち上がりに10分以上かかることもあるという。名古屋市内のクリニックを訪れると、こうしたトラブルによって窓口で受付がストップし、患者を30分近く待たせてしまったことも。また、認証エラーが出れば、保険証を自宅まで取りに行ってもらったりもしたそうだ。 さらには、本人確認に時間がとられることもあり、窓口の機能はパンクしたこともあったと振り返っていた。