「健康保険証」廃止期限は12月2日 医療現場で「マイナ保険証」のトラブル相次ぐ中“一本化”は拙速か【大石邦彦が聞く】
■保険医協会「マイナ保険証一本化への移行時期は拙速」 アンケートは保険証が廃止された場合の受付業務はどうなるのか?にも触れているが、6割が「今も混乱しており、廃止後は受付業務に忙殺される」と答え、5割弱が「診察の待ち時間が長くなる」と不安を抱いているのだ。 愛知県保険医協会の荻野高敏理事長は、こうした現場の声がある以上は「マイナ保険証一本化への移行時期は拙速」と語気を荒げた。何もマイナ保険証へ反対しているのではない。 環境整備がされていないのに変更しても、困るのは現場の医療機関であり、利用する患者であることを誰よりも知っているからなのだろう。 そういえば、前述した石破候補のマイナ保険証一本化への異論は、総理になってから封印され、デジタル担当大臣や厚労大臣によって、当初通りの方針が打ち出された。トーンダウンしたマイナ保険証一本化の見直し。 総理になってもやりたいことと、やれることは違うようで「国はどうしてもマイナンバーカードへ切り替えたい」そんな強い意志が透けて見える。マイナポイントのお得感を活用したり、保険証という国民の健康に直結する必需品を使ったりして、マイナカードに移行させたいのだ。 でも、そもそもマイナンバーカードは強制ではなく任意だったはずた。それなのに、マイナ保険証への切り替えを促す手法は、半ば強制にも感じるのは私だけだろうか? ■まずは“メリット”を国民に提示すべきでは 制度などが変わる時、必ず何らかのハレーションは起きることは歴史からも明らかだ。ただ、もしも制度や仕組みを変えた方が利便性が増すなどのメリットを感じれば、人は自ずとそれを選択していくはずだ。国は、期限を切って制度を変えるのでなく、マイナ保険証がいかに便利でメリットがあるかを国民に提示することに力を注ぐべきた。 今や9割以上の利用率を誇る高速道路のETCカード、スタートは2001年だった。しかし、20年以上経過してもETCレーン以外に一般レーンを設けている。そう、ETCカードへの移行も、未だに二刀流なのだ。ただ、ETCの利便性を感じた国民が利用率を徐々に押し上げてきた。愛知県保険医協会の荻野理事長も「保険証も移行するには、ある程度の時間が必要だ」と力説している。 もっと時間をかけて、丁寧に国民の理解を求めていくことが必要なのではないだろうか?その理解には、もちろん「納得」と「共感」が含まれるのは言うまでもない。
衆院選でも争点の一つになった「マイナ保険証一本化」。この声を拾ってくれるのは、石破総理なのか?それとも野党なのか?永田町で政治の枠組みを模索している 間に、期限を迎えそうだ。 取材:CBCテレビ解説委員 大石邦彦
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