『ぼっち・ざ・ろっく!』映画、なぜ人気? 漫画に「音楽」が重要なワケ
2000年代に起きた変化
漫画やアニメは長らく日常消費が中心であり、特に漫画における非日常消費は以前の記事にも触れたように、ほぼ存在しないといえる。 しかし2000年代以降、エンターテインメント業界に大きな変化が訪れた。映画市場の拡大と「応援上映」という新しい鑑賞スタイルの登場により、映像分野での非日常的な体験消費が促進された。同時に、音楽ライブやミュージカルの人気も高まり、音楽領域でも非日常的な消費が活性化している。 これらの変化により、エンターテインメント産業は新たな成長機会を獲得し、消費者により魅力的で没入感のある体験を提供できるようになった。『けいおん!』から『ぼっち・ざ・ろっく!』に至る音楽コンテンツの活用は、1つのモデルケースといえる。 本稿では漫画・アニメ・音楽を中心としたメディアミックスについて考察した。この手法はエンターテインメント業界における作品価値の向上において重要な役割を果たし、ファンの期待を超える体験提供や作品の長寿化にも寄与する。 時代の変化とともに新たな手法を生み出していかなければ、コンテンツの寿命は尽きてしまう。音楽に次ぐ新たな柱となる「形態」を開拓するのか、または漫画×非日常という新たな「特性」が開拓されるのか、興味は尽きない。
著者プロフィール:滑 健作(なめら けんさく)
株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。
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