「友人は爆弾で吹っ飛ばされ、10m離れた所に遺体が」大阪にも投下された『模擬原爆』の実態 99歳の証言「いまだに耳の底へよみがえる」
「爆弾で吹っ飛ばされて…」犠牲になったトシちゃん
そして、そのうちの1発が大阪・田辺に落とされたのです。この巨大な爆弾で7人が亡くなり、その中に龍野さんの友人も含まれていました。 (龍野繁子さん)「トシちゃんっていう姉の親友が田辺の駅の近くに住んでいた。爆弾で吹っ飛ばされて遺体(の場所)がわからなかったんですよ。10m飛ばされた所に遺体があったんです。なんともいえない嫌な時代ですね。二度と来てほしくないですね」 爆弾が落ちた場所に近い恩楽寺では、毎年、模擬原爆が投下された7月26日に追悼式が行われています。龍野さんはこうした機会に当時の体験を参加者らに伝えてきました。
「いまだに耳の底へよみがえってくる」
(龍野繁子さん)「『空襲なんてあるはずないよね』なんてことを言っておりましたので、あの音にはびっくりしました。いまだに耳の底へよみがえってまいります。今ここにいる小学生中学生の人たちは今を楽しんで生活できると思う。戦争中は楽しむなんてことは考えることもなかったです」 しかし終戦から79年がたち、体験者の生の声を聞くことは少しずつ難しくなってきました。 (龍野繁子さん)「私たちがどれだけやりたいと思っても体力がついていかないから。やっぱり今の若い学生さんたちがどう取り組んでくれるか、見守っていきたいと思います」
原爆は広島・長崎だけの問題じゃない
こうした中、模擬原爆の実態を突き止めようと研究を続ける若者がいます。大阪出身で神戸大学大学院に通う西岡孔貴さん(26)です。模擬原爆の研究を始めたきっかけは、大学1年の時、広島平和記念資料館で見た模擬原爆についての展示でした。 (西岡孔貴さん)「まさか自分の地元の文字を見るとは思わず、衝撃だった。原爆は広島・長崎のものだけの問題じゃないかもしれないなと関心を持った」 アメリカ軍の資料から、神戸にも4発の模擬原爆が投下されたことが分かっています。そのうち3発についてはどこに落ちたか特定されていますが、神戸製鋼所を目標としていた残る1発の正確な着弾地点は分かっていません。