「うわ、また泣いた」泣いてしまった部下や後輩にイライラ…「責められた」と逆恨みされずスマートに切り抜ける“突破法”【アンガーマネジメント協会代表理事が解説】
イライラを逆手にとる人も
泣くことを「これ以上わたしをいじめないで……」という防衛の手段にする人もいます。そんな相手の様子を見ていると、「うわ……また泣いた」「なんでこういうときにいつも泣くのかな!」「泣いても繰り返すくせに!」と、どんどん余計な怒りがわいてしまうでしょう。 「は? また泣くの?」「泣けばいいというものではないんだよね」とつい言いたくもなるのですが、下手に厳しい言葉をぶつけると、相手から「責められた」「困って泣いたのに、さらに追い打ちをかけられた」と逆恨みされる可能性もあるので、対応には注意が必要です。 こちらのイライラが相手に伝わると、相手は萎縮して、本当にわかってほしいことが伝わらなくなってしまう場合もあります。いずれにしても、落ち着いて対処することが必要です。 また泣いている相手に「泣かないでよ。責めているわけではないのだから……」となぐさめるように伝えたら、ますます泣かれてしまったということがあるのではないでしょうか? これは、かまってほしいタイプの人がよくする行動パターンです。 下手に付き合っていると、相手から「かまってくれる人」と認定されてしまうので、変になだめることはしないようにしましょう。 このタイプには、相手が「泣いている自分」に酔いしれないように、冷静に言葉がけをする必要があります。
泣いている相手から“意識を外す”
相手が泣いたときに心がけたいのは、泣き出した瞬間に、相手から意識を外して、気持ちを落ち着けることです。具体的には次のようなことをするのも一案です。 ・相手とまったく違う方向に視点を向ける ・深呼吸をする ・違うことを考える 「次にどんなふうに言おうかな」 「今日は、これが終わったら、何を食べようかな?」など。 ・気持ちが落ち着く言葉を自分に言い聞かせる 「こういうときに、わたしの力量が試されるんだよな」など。 ・相手を観察して、実況中継する 「すぐ泣くんだから!」「泣くなよ!」と思ったことをそのまま言葉にすると、パワハラのように受け取られる可能性があります。 自分の心のなかだけで「涙が出ているようで出ていないな……」「この間よりさらに泣いている。体力を使っているな」と客観的になれるように実況中継するのもいいでしょう。 戸田 久実 アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事
戸田 久実