定年間近のサラリーマンですが、老後資金が心配です。生活保護と年金を同時に受給することはできるのでしょうか……?
「老後の生活は年金だけでは心もとない」と感じる人もいるのではないでしょうか。近年は、老後も年金をもらいながら働いて生活の糧にしている人も少なくありません。 しかし、万が一けがや病気で働けなくなった場合は年金をもらいながら生活保護を受給することはできるのでしょうか。今回は、生活保護制度と年金制度を解説しながら同時利用ができるかについて解説します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
年金制度とは?
公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。 ・国民年金:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければならない ・厚生年金:会社員や公務員の人が加入する 国民年金で受給資格期間が10年以上ある場合は、原則65歳になると亡くなるまで「老齢基礎年金」を受け取れます。さらに、厚生年金に加入していた場合、上乗せで「老齢厚生年金」を受給することが可能です。 また、年金には老後の生活を支える「老齢年金」だけでなく、「遺族年金」や「障害年金」があることをご存じでしょうか。 ・遺族年金:家族が亡くなったとき、子どものいる配偶者または子どもが受け取れる。遺族基礎年金や遺族厚生年金がある。 ・障害年金:病気やケガで障害が残ったとき受け取れ、障害の程度で年金額が異なる。障害基礎年金や障害厚生年金がある。 経済的に保険料の納付が難しいときは、免除や猶予制度があります。保険料の免除・猶予期間も受給資格期間に含まれるため、払えないからといって放置することはおすすめできません。 免除や猶予期間がある場合、通常よりも受け取る年金額は少なくなります。納められなかった分は、10年以内であれば「追納」という形で納付することも可能です。
生活保護制度とは?
生活保護制度とは、「生活困窮者に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障する」という国民の権利です。 厚生労働省は、生活保護を受けるための要件として「生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。」としています。 そのため、例えば預貯金や日常生活に使っていない土地・家屋があれば、生活保護を受ける前にまずそれらを売って生活費に充てる必要があります。また、働ける場合は当然働くことも求められます。 さらに、年金や手当などがもらえる場合は、まず生活保護制度よりも先に活用しなくてはなりません。このほか、親族などから援助が受けられる状態であれば、助けを借りる必要があります。