上司に「俺が若いころは土日も仕事してた! 終わらないなら家でやってこい」と言われます。残業代は出ないようですが、これって「違法」ではありませんか? 残業代は本来どれくらい出るのでしょうか?
割増率の考え方
完全週休2日制(土日休み)で、1日の所定労働時間が8時間である企業を例に、土日の労働の割増率を考えてみます。なお、1時間当たりの賃金は2000円と仮定します。 平日は所定労働時間の8時間ずつ働き、土曜日に5時間、日曜日に5時間働いたとします。 本ケースでは、平日の合計労働時間は40時間(8時間×5日)であるため、土曜日に勤務した5時間分は全て残業(時間外労働)とみなされ、割増賃金(25%以上)を受け取れます。土曜日の労働に対する残業代計算式は以下の通りです。 2000円(1時間当たりの賃金)×5時間(残業時間)×割増率(125%)=1万2500円 また、日曜日の勤務に関しては「残業」ではなく「休日労働」に該当するため、勤務した5時間分については割増賃金(35%以上)を受け取れます。日曜日の労働に対する残業代計算式は以下の通りです。 2000円(1時間当たりの賃金)×5時間(残業時間)×割増率(135%)=1万3500円 以上から、土日の労働に対する残業代は、1万2500円+1万3500円=2万6000円です。
残業代の時効消滅について
残業代は時効消滅期間が設定されており、2020年3月までの支払い分は「2年間」、2020年4月以降の支払い分は「3年間」が時効消滅期間となっています。 会社に相談しても残業代未払い解消のめどが立たない場合は、労働組合や労働基準監督署、弁護士などへの相談を検討してみてください。法的な対抗手段をとることがはばかられるのであれば、転職活動を始めてみるなど、自分の身を置く環境を変えてみるのも良いかもしれません。
まとめ
サービス残業が常態化し、土日にも労働を強いられている人は、支給されるはずだった残業代をぜひ計算してみてください。自身の利益を守るためにも、残業代の計算方法について、ある程度の知識を持っておきましょう。 また、すでに心身の調子を崩してしまっている場合は、可能な限り早く病院で受診してください。自身の健康を第1に考えて行動しましょう。 出典 厚生労働省 労働基準に関する法制度 e-Gov 法令検索 労働基準法 執筆者:小林裕 FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
ファイナンシャルフィールド編集部