残り4枠狙う2年目の大器 1度は引退決意も…兄が変えた運命、野手転向4か月でプロ入り
運命を変えた西武の入団テスト…潜在能力重視の新機軸
モンテルをNPB入りに導いたのは、同年10月のドラフト会議前に西武が行った入団テストだった。西武は前年までの入団テストとは違い、視神経反応テスト、ワットバイクによる脚力計測、メディシンボールの垂直スロー、10メートル走、20メートル走など、潜在能力の高い選手を発見するための新機軸を打ち出していた。そうでなければ、4か月前に野手転向したばかりのモンテルが、育成2位とはいえドラフト指名されることはなかったかもしれない。 入団1年目の昨年、モンテルの前に立ちはだかったのは守備の課題。熊代聖人2軍外野守備・走塁コーチから、付きっ切りで指導を受けたという。「本当に基礎の基礎、ボールを捕る姿勢から教えてもらいました。今では『1軍レベルまでできるようになっている』と言われます」と笑顔がこぼれる。 一方、小関竜也2軍野手総合コーチは「昨年1年間で、だいぶ野手らしくなりました。今季は自分のアイデアでセーフティバントを決めたこともあります。現時点では守備と足がセールスポイント。打撃も強く振ることはできるので、あとはいかにバットに当たる確率を上げていけるかです」と評する。モンテル自身も「コンタクトをしない限り、ボールは前に飛ばない。当てることができれば、自分の足なら安打にできますから」と、持ち味を生かそうとしている。 西武では6月3日に菅井信也投手、同9日に奥村光一外野手が育成選手から支配下登録選手となった。モンテルにもまだ、今季中に昇格する可能性は残されている。 モンテルの背番号119は、くしくもジュリアスさんがヤクルトで育成選手になってから付けていた番号と同じ。「お兄ちゃんは支配下で入ったので、僕もまず支配下になって追いつかないといけない」と兄の背中を追う。ベルーナドームを走り回る姿が待ち遠しい。
倉林知子 / Tomoko Kurabayashi