学びたい科目がない、進路指導担当もお薦めしない…県立短大の人気低迷、アンケートで浮き彫りに
鹿児島県立短期大(鹿児島市)の活性化策を検討している県の有識者委員会で、県内高校の生徒や進路指導担当者、企業などに実施したアンケート調査結果が示された。時代の要請に対応した教育内容を探るのが目的で、学生確保に悩む県短の課題が浮き彫りとなった。 【写真】高校2年生を対象にしたアンケートの結果をグラフで見る
県内57高校の2年生5877人が回答した。約7割に当たる4297人が進学を望んでいると答え、うち進学希望先に「短大」を選んだのは14.3%の615人だった。短大希望者が志望する学部・学科系統(三つまで選択可)は「教育」が最多の196人で、「食物・栄養」85人、「経済学」83人などだった。 県内短大を希望する486人のうち、県立短大志望は116人、未定が218人。県短を志望していない146人に理由(三つまで選択可)を尋ねると、「学びたい内容の科目(授業)がない」が最も多く、「別の4年制大・短大を志望先としている」「希望する資格を取得できない」が続いた。 短大希望者は全国的に減少傾向にある上、県短の教育内容が高校生のニーズに応えられていない状況が浮かび上がる。 高校の進路指導担当102人へのアンケートでも、進学先がはっきりと定まっていない生徒へ県短を薦めているか聞いたところ、「あまり薦めていない」が47人、「全く薦めていない」の7人と合わせて計52.9%に上った。「よく薦めている」は29人(28.4%)、「回答しない」19人(18.6%)だった。
薦めない理由(三つまで選択可)は「生徒に学ばせたい内容の科目(授業)がない」や「別に薦めたい学校がある」が目立った。 企業側は、どう見ているのか。県内300社へのアンケートでは、県短に取り組んでほしい教育内容を聞いた。コミュニケーション力やプログラミング、語学といった声が寄せられた。 検討委は、高校生や産業界のニーズを踏まえた教育内容の見直しが必要とみて議論を進める。5日に県庁であった第3回会合では、アンケート結果を基に「観光学」の導入について賛否が出たほか、社会人が学び直す「リカレント教育」の充実などについて意見を出し合った。 今後は本年度内に残り2回の会合を開き、提言をまとめる予定だ。
南日本新聞 | 鹿児島