フレイル予防に有酸素運動は効果的! おすすめの種類・頻度について
有酸素運動の実践
編集部: フレイル予防におすすめな有酸素運動にはどのような種類がありますか? 立石先生: おすすめな有酸素運動にはウォーキング、ジョギング、サイクリング、ラジオ体操、エアロビクスダンス、水泳、縄跳びなどが挙げられます。 特にウォーキングは60~70代の高齢者が「初めて、もしくは久しぶりに再開した運動」のうち約6割を占めていると報告されており、最も日常的に実施しやすい運動です。 また、ウォーキングは特別な器具や設備を必要としないので、身近で取り組みやすい運動としてもおすすめです。 編集部: 有酸素運動の効果的な強度や頻度はありますか? 立石先生: 有酸素運動は、楽である~ややきつい程度の負荷で10分以上の運動を合計で30分程度、できれば毎日実施することを推奨されています。 習慣的に運動を実施していない方の場合は、そこまで強度をあげなくても運動開始後に短時間で心拍数が上昇しやすいので、短い時間からはじめましょう。 さらに、生活習慣病を有する方は血圧管理などに注意し、持病や服薬がある方は事前にかかりつけ医と相談してから実施するようにしてください。 編集部: フレイル予防のための有酸素運動を行う際の食事の注意点はありますか? 立石先生: 有酸素運動は一般的に軽度~中程度の負荷で数十分~数時間単位で実施される運動であるため、エネルギーの消費が多くなります。 体内に蓄積されているエネルギーが不足した状態になると、筋肉に蓄積されているたんぱく質を分解してエネルギーを生成するため筋肉量の減少にもつながります。 ですので、有酸素運動を実施する前は炭水化物を十分量摂取し、運動によって傷ついた筋肉を回復させるためにもたんぱく質の摂取を心がけるようにしましょう。
有酸素運動の注意点
編集部: 有酸素運動を始める前に準備すべきことはありますか? 立石先生: 有酸素運動は気軽にできるというメリットがある反面、準備をせずにそのまま始めると関節痛や熱中症などの危険があり、注意が必要です。 有酸素運動を始める前の準備としては、直前の食事の管理(運動直前の多食・油っぽいものなどの消化に悪いものを避ける)、血圧や脈などの確認、動きやすい衣服の着用(通気性の良い、伸縮性のあるもの)などに気をつけましょう。 さらに、運動中の脱水予防のための運動前の水分補給も欠かさず行いましょう。 編集部: 有酸素運動中の注意点や中断すべきタイミングなどについて教えてください。 立石先生: 注意点としては猛暑を避け、こまめに水分補給をすることです。特に夏場は熱中症の危険があります。しかし、首に長時間タオルを巻く、汗拭き用のリストバンドをつけるなどでは熱がこもりやすい状況になります。 衛生面からも汗を拭くことは大事ですが、首や手首などに物を巻きっぱなしの状況は避けるようにしましょう。さらに、ご自身の体調を考慮し、強い疲労感や身体の痛みを感じるときは強度を下げる、いつもより短時間で切り上げるなどの調整をしてください。 編集部: 有酸素運動をしてはいけない条件や覚えておくべき禁忌事項はありますか? 立石先生: 体調がすぐれない時や医師の指示がある場合は、有酸素運動の実施を避けましょう。 具体的には、痛みなどの強い不快感が生じているとき、安静時血圧・脈拍の過度な上昇が認められるとき(収縮期血圧180mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上、脈拍100拍/分以上)などが挙げられます。 特に何らかの持病を有する方は、疾患の特徴や服用している薬の特性によって運動実施が可能な基準が異なるため、かかりつけ医の指示のもと実施の可否や負荷の調整といった判断を行う必要があります。