「オレ、ちょっと泣きそうになりました」西武池袋本店が「61年ぶりスト」、道行く人々が見せたグッっとくる反応とは
「皆さん、今日の活動はですね、諦めて、投げやりでやる活動ではないというふうにボク自身は思っています。むしろ逆で、永遠に扉が開けられないということにならないように今日1日頑張るということだと思っています」 そんな簡単な挨拶に、割れるような拍手をもらった。 ● 競合している百貨店の 労働組合も参加した 今日も高島屋(「高」ははしごだか)、三越伊勢丹、大丸松坂屋、阪急阪神、そしてクレディセゾンの労組委員長が応援に駆けつけてくれている。ゼンセン(編集部注/UAゼンセン:「全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟」の略称。繊維、アパレル、化学工業、工業、食品、流通、サービスなどの産業分野の労働組合を束ねる)からは今日のストライキは「単組判断で」と通告され、デモ行進で他労組の応援はできるだけ目立たないようにという要望もあった。 「皆さん、今日はありがとうございます。皆さんには列の最後尾で歩いていただき、できるだけ前に出ないように、テレビ画面に映らないようにしますので、それでいいですか」 その瞬間の西嶋秀樹委員長(編集部注/全高島屋労働組合連合会)の渋い笑顔は一生忘れない。 「何言ってんですか寺岡さん。水臭い。先頭に決まってるじゃないですか。全員で先頭一緒に歩きましょうよ!」 ほかのメンバーも即座に同意してくれた。 「すみません、ありがとうございます!」
デモの隊列で割石健介(編集部注/そごう・西武労働組合副委員長)の後ろに6人の労組委員長が並ぶと、執行部のメンバーが「アベンジャーズみたいや!」と声を上げた。この日の夜の民放テレビのニュースでも、隊列に各百貨店労組名のテロップを入れて報じたところがあったようだ。 公園には多くのメディアが集まり、カメラを手に待ち構えていた。デモ行進の前に取材に応じる予定はなかったが、「いまコメント出さないと混乱するから、どこかで一度集まってぶら下がり取材を受けたほうがいいですよ」と面識のある記者から言われ、やむなく簡単に取材を受けた。 酷暑のなか、割石を先頭に約300人のデモ隊が公園を出発した。池袋警察署員がデモの周囲を固め、先頭を歩く割石の前には10人近いカメラマンが張り付いて後ろ向きに歩きながら撮影している。 出発地点の東池袋中央公園から首都高速5号線の下を走る国道254号線を北へ進み、川越街道の起点の六ツ又交差点を明治通りへ左折する。 ● ストライキ決行中の店舗が デモの写真映えスポット 「池袋の地に、百貨店を残そう!」 「西武池袋本店を守ろう!」 「日頃からご利用いただいているお客さまに、これからも、お買い物を楽しんでいただきたい」 拳を突き上げ、のぼりを振り、プラカードを誇示した。