20年前に「原寸大チョロQ」の電気自動車があった!「モダンタイムズ」の元ネタは映画『メトロポリタン』の劇中車でした【マイクロカー図鑑】
元ネタは1921年のルンプラー トロッペンワーゲン
そもそもチョロQの魅力のひとつが、実在するクルマの特徴をとらえたうえでセンス良くデフォルメするデザインの妙。見る側にとって「あのクルマのエッセンスを煮詰めるとこうなるんだ」という新鮮な驚きをもたらしてくれる点だった。その意味ではオリジナルデザインの近未来スポーツカー「2010」と、実用性を狙ってゴルフ場のカート的な独自の外観となった「ユー」は「あのクルマをこう料理したんだ」というポイントはやや薄い。 その点「モダンタイムズ」は明らかに元ネタとおもわれる実車が存在する。もちろん公式にはあくまでオリジナルデザインということだが、そのレトロフューチャーな姿は一瞥して1921年のベルリン・モーターショーで発表されたルンプラー「トロッペンワーゲン」に範をとったとわかる。これは流線形デザインでCd値0.28という当時驚異的な数字を誇り、映画『メトロポリタン』でも未来のクルマとして登場したモデル。チャップリンの映画からインスパイアされたと思しき車名ともあいまって、まさにシャレの効いた原寸大チョロQだ。
倉庫で朽ちかけていたプロトタイプをレスキュー
この「QQ(モダンタイムズ)」のオーナーは水口 雪さん。この他にも多数の原付カーなどを所有する「小さいクルマ・コレクター」で、本職は埼玉で動物病院を営む獣医師さんである。もともと「Qi(キューノ)」のオーナーだった水口さんは数年前、当時発表会で展示された後にタカラの倉庫で眠ったままになっていた「QQ(モダンタイムズ)」と「2010」が現存することを知る。倉庫で朽ちかけていた2台をなんとかレスキューしようと水口さんは関係者と交渉。その熱意が先方にも伝わり、ついに2台のプロトタイプを手に入れるのである。 水口さんは入手後にさっそくレストアを開始。バッテリーをはじめとして多くの消耗部品を交換し、傷んだボディや内装も修繕しレストアは無事完了。今年2023年に入ってナンバーも取得し、晴れて公道走行可能な状態となった。 「発表会用に製作されたワンオフのショーモデルだったのでドアミラーやワイパーなども備わっていませんが、できるだけ当時の状態をキープしようと考え、ホイールキャップ以外はほぼオリジナルです」
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