美輪明宏「私たちはありがたいものに囲まれている。歩ける、聞こえる…当たり前のことに感謝できれば、幸せの数も増える」
歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。 1月号の書は「皆様 感謝は自分にも与えて下さい」です。 【美輪さんの書】感謝 * * * * * * * ◆当たり前のことに感謝できる気持ち 私は今までことあるごとに、「感謝は人が生きていくために最も必要な気持ち」だと伝えてきました。 着るもの、食べるもの、すべて人がつくってくれたもの。私たちは、ありがたいものに囲まれているのです。ありがたいとは、「有り難い」。当たり前だと思っていることが、実は有り難いのだと気づいたら、自ずと感謝の念が湧いてくるはずです。 自分自身についても、歩ける、読める、聞こえるといった当たり前のことに感謝できると、幸せの数も増えていきます。 私は原爆症の後遺症もあってもともと病気がちでしたし、年齢を重ねるなか、大きな病気や怪我もしました。ですから日々、健やかに過ごせるだけでありがたいと、感謝の念が湧きます。
◆ときには「我に幸あれ」と唱えて さて皆さんに、ここでひとつご提案。一年の締めくくりや年始に、自分自身に感謝をしてみてはいかがでしょう。 この数年間、コロナ禍、物価高、猛暑など、さまざまなご苦労を経験なさってきたと思います。なかには悲しい別れを経験した方や、病気や怪我などで苦しんだ方もいるでしょう。また、世の中に目を向けると、戦争や災害など、気分がふさぐようなニュースばかり。なんとなく鬱々としてしまう人も少なくないのでは? それでも今日まで、日々、頑張ってきたのです。ときには「大変でしたね。おつかれさま」と自分をいたわり、自分に「ありがとう」と声をかけてはいかがでしょう。 物価高などでしんどいかもしれませんが、せめて年末年始には自分のためにささやかなプレゼントやご馳走を用意して。スパークリングワインでも傾けて、「我に幸あれ」と唱えてみれば、新しい年も前を向いて生きていこうという気持ちになれるはずです。 ●今月の書「皆様 感謝は自分にも与えて下さい」 (構成=篠藤ゆり、撮影=御堂義乘)
美輪明宏