2013年 横浜DeNA ”あの内紛事件”の真相
■スポーツ紙に「内紛勃発」の文字 野球ファンの皆さんには記憶に残っているだろう。夏に横浜DeNAで「内紛勃発!」という記事がスポーツ紙の一面を飾った。報道によると7月4日のヤクルト戦前に池田純社長が、波留敏夫・打撃コーチ(今オフから中日コーチ)に「今日の試合はどうでしょうか」と聞いたところ「相手があることですから」と返答。気のない返事に不信を抱いた池田社長が「勝つ気はあるのですか」と突っ込み「勝つためにやっている」と波留コーチが応戦して周囲が驚くほどの大口論に発展したというもの。コーチの態度に疑念を抱いた池田社長が、翌日から、全コーチと面談をしたという続編まで報道された。
■フロントの現場介入が問題? モバゲーに代表されるような異業種から野球界に参入してきたDeNAは、当初、「現場は高田繁GMに任せ口を出さない」という会社のスタンスを表明していたはずだったが、私は、この報道を見て「やっぱりか」と違和感を覚えた。読売のあの人や、楽天のあの人のように、野球素人の偉いさんが、現場にいらぬ介入をして引っ掻き回す典型だと考えていた。 このオフに池田社長に話を聞くと、意外な真相が明らかになった。 「やりとりの中身はだいたい報道されている通りです。私は普通の会話のつもりでしたが相手が、『この人は何を言ってくるんだろう?』と壁を感じていたのでしょう。それで議論が激しくなりました。普通のコミュニケーションのとれない壁のある組織だったということです。そういう壁をなくし、コーチの評価基準を作り、チームの長期的強化を考えた育成システムを作りたいと考えていたところでした。『内紛を収拾するために全コーチを面談』というような報道もされましたが、あれは、たまたま、私たちが導入しようとしていた新しいコーチ評価の説明を予定していた日程と重なっただけなんです」 ■常勝軍団へ チーム改革へ着手 実は、横浜DeNAは、常にCS争いに参加のできる常勝軍団へチームを強化するための様々な改革をスタートしていて、そのひとつに現場組織の改革、強化があった。コーチ、一人ひとりのカンや経験だけに頼ってバラバラで継続性もなかった指導方針を体系化しようと試みているのだ。