塩ラーメンで支援、能登半島地震の被災地 長野県内の「山ノ内大勝軒」、6月の発売目指す
「志賀高原」と「志賀町」つながりで
山ノ内町志賀高原のラーメン店「山ノ内大勝軒(たいしょうけん)」は、能登半島地震で被災した石川県志賀(しか)町を支援する「復興応援ラーメン」を開発する。山ノ内町が「志賀」つながりで被災直後から支援を続けており、町内で3年余り前に開店した同店の田内川真介社長も独自の支援を模索。志賀町特産の紅ズワイガニの加工過程で捨てられる煮汁に着目した。これに秘伝のスープを合わせ、海の香りが漂う塩ラーメンを商品化する計画だ。6月の販売開始を目指す。 【写真】試作1号の復興応援ラーメン。紅ズワイガニの煮汁を活用し、まろやかなスープに仕上げた
「大勝軒」の系列ラーメン店は、山ノ内町で少年時代を過ごした故山岸一雄さんが考案したつけ麺で知られる。田内川社長は山岸さんの弟子で、東京都内でのラーメン店経営を経て、師匠のふるさとである同町に移住。志賀高原で2020年12月から「山ノ内大勝軒」を営んでいる。
能登半島地震の発生後、山ノ内町は以前から観光連携を模索してきた志賀町に食料や足湯、義援金を届けるなど支援してきた。田内川社長も、大勝軒の復刻カレーライスのレトルトを送った。「(自身の得意分野の)ラーメンを通じてもっと支援できないか」との思いが募り、4月下旬、志賀町に初めて足を運んだ。
傾いた建物が点在し、避難生活を続ける子どもの姿に触れ、傷痕の深さを実感したという。地元の漁協や観光協会を訪れ、ゆでて販売している特産の紅ズワイガニに着目した。ゆでる際に発生する煮汁がうまみを含んでおり、大勝軒秘伝の塩だれに合う―と確信した。今月7日に第1陣として40キロの煮汁が届いた。
さっそく従業員と試作を始め、大勝軒の味を守りながら、カニのうまみを生かしたスープ作りに試行錯誤している。6月1日に営業を始める志賀高原蓮池の観光拠点施設「志賀高原山の駅」の夏季店で2カ月ほどの限定メニューとして売り出す予定だ。売り上げの一部は義援金にする。「山ノ内や信州の人に、ラーメンを通じて復興の途上にある能登半島に思いを寄せてほしい」としている。