「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」に参加! 東京会場で初公開の新作やイベントを満喫してきた
続いて登場したのは、東京会場にて新たに追加された作品《ミュウツー》だ。吉田氏による全長約2mの大作で、その荘厳な佇まいから会場内で圧倒的な存在感を放っていた。 こちらの作品もイーブイたちと同じく、彫金を駆使して作られている。金属パーツをよく見てみると、さまざまな種類のポケモンたちから形作られていることが分かる。遺伝子操作によって人工的に造り出されたミュウツーの出自を彷彿させる細やかな意匠には、驚嘆せざるを得なかった。
次なる展示エリアは、「ものがたり ~浸る!~」だ。ここではポケモンそのものだけではなく、ポケモンが放つ技や育成による進化、プレイヤーが辿る旅路など、ポケモンの世界観をモチーフとした作品が並ぶ。 特に印象的だったのは、須藤玲子氏による作品《ピカチュウの森》だ。遠目に見ると、黄色いカーテンのような展示空間が広がっているのだが、近づいて見ると、その一本一本が可愛らしいピカチュウの大群で構成されていることに気がつく。 須藤氏はアニメ「ポケットモンスター」の「ピカチュウのもり」のエピソードにインスピレーションを受け、作品を制作。飛んだり跳ねたり、笑ったり驚いたり、ピカチュウの愛くるしい姿をニードルレースで表現した。 作品にはトンネル状の小道が作られ、鑑賞者はそこを歩くことでピカチュウの森に迷い込んだ気持ちになれる。短い小道ながらもピカチュウの可愛さを全身に浴び、森林浴以上のヒーリング効果が得られた気がした。 なお、約900本のレースのうち1本だけ色柄違いのレースがあり、須藤氏曰く、「最高に可愛い」姿のピカチュウをデザインしたのだそう。なかなか難易度の高いミッションではあるが、ぜひ森のなかを探索して最高に可愛いピカチュウを見つけ出してほしい。
最後の展示エリアは、「くらし ~愛でる!~」だ。壺や器、着物など、生活のさまざまなシーンを彩る工芸にポケモンたちが入り込み、作品に息づいている。 エリア中央に展示された桑田卓郎氏のピカチュウのインスタレーション作品は、東京会場では従来の倍以上のボリュームで展開される。大小さまざまなサイズの陶器のカップは、「動力成形」という技法を用いて制作された。カラフルな色化粧土をかけ、釉薬、金彩とプラチナ彩を施し、最後に転写シートでピカチュウの顔があしらわれる。 色とりどりのカップもさることながら、筆者が特に惹かれたのは柱を囲うようにびっしりと敷き詰められたピカチュウのタイルだ。「10まんボルト」に匹敵する輝きを放つ金色のタイルが、ひときわラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。可愛らしいピカチュウと豪華な意匠のギャップが、なんともユニークだった。もし部屋の壁一面にこのタイルが敷き詰められていたら、さぞ豪勢な空間に仕上がるだろう。