<リオ五輪>城氏が語る 手倉森J敗退の責任と浮き彫りになった課題
リオ五輪では東京五輪へ向けて日本のサッカー界が抱える課題が浮き彫りになった。 スウェーデン戦は、相手がラインを下げゴール前を固めてきたので前半は崩しきれなかったが、組織を重要視する欧州サッカーに対しては、対応できることは改めて証明した。欲を言えば、もう1、2点取れたと思うが、中2日の休養で、運動量で勝り中盤でボールを奪って攻める、という組織的なサッカーでスウェーデンを制した。だが、コロンビアがナイジェリアを2-0で破ったことで、北京五輪以来となるグループリーグ敗退となった。 組織対組織の欧州サッカーには通用するが、組織対パワーとなるアフリカや南米のチームには、勝てるゲームを勝ちきれなかった。真の力がなかった。 グループリーグの敗退には、決定力不足を露呈するなど、いくつかの理由があるのが、国際経験不足が響いたと思う。“谷間の世代”と呼ばれ、U-17のワールドカップ出場を逃すなど、国際大会への出場機会が少なかった。チームとしての“駆け引き”や“ずるがしこさ”のような状況判断に欠けていたのも、その経緯と無縁ではない。もっと攻守にシンプルに仕掛けるなり、試合のペースを意識的にコントロールするなどすればよかったが、現場で判断しながら適応、対応する力が足りなかった。 監督がボード上で戦術、戦略をいくら指示しても、個の能力で勝負してくるナイジェリアやコロンビアなどというチームには、そのままがあてはまらないケースが多い。ピッチ上の選手が自ら判断して、どう対応するかが重要なのだが、それはやはり経験から来るものなのだ。 オーバーエイジの3人も海外でのクラブのプレー経験のない選手ばかりだった。彼らがOA選手らしく、リーダーシップを発揮すべきだったが、藤春廣輝はこの日、スタメンから外され、興梠慎三はプレーではチームを引っ張ったが、声をかけチームを鼓舞するようなシーンは、ナイジェリア、コロンビア戦では見られなかった。結果論として、このチームのOA枠の使い方も失敗だった。