<リオ五輪>城氏が語る 手倉森J敗退の責任と浮き彫りになった課題
また大会直前でスイスの1部「ヤングボーイズ」でプレーする久保裕也が、所属クラブの拒否で参加することができなくなった。サッカーの世界に、たらればはないが、もし彼がいれば、チームの決定力がアップしたのかもしれなかった。久保のキープ力や決定力が攻撃のバリエーションを増やすことに役立ったことは間違いない。 なぜ久保を呼べなかったのか、なぜベスト4に進んだロンドン五輪時の吉田のように海外クラブでプレーしている国際経験豊かなプレーヤーをOA枠で入れることができなかったのか。 今大会では、チームをサポートする立場にある協会の問題も黙認はできない。開催国のブラジルは、ネイマールを呼び、聞くところによれば、スウェーデンも何十人もOA候補にリストアップして海外クラブと折衝を繰り返したという。4年後に、リオ五輪時に海外クラブから呼べなかった選手を地元開催の東京五輪だからと言って呼べるとは限らない。確かに五輪軽視の傾向が欧州のサッカー界にはあるが、日ごろからロビー活動を行い、各クラブと太いパイプを築いておくことは重要だろう。そのために海外クラブでのプレー経験のあるOBに協力を求めてもいいと思う。 報道によると、手倉森監督が東京五輪まで続投する方針が出ているという。だが、私には疑問だ。今大会で結果を残せなかった。結果的に勝ちきれなかったし、勝ち点を意識したようなセーフティな采配もあった。結果責任は監督にある。国内では実績のある監督だが、監督としての国際経験が不足している。今回の大会が、その経験のベースになるのかもしれないが、今後も手倉森体制を継続させるのならば、豊富な国際経験を持つ人をアドバイザーとしてチームに加えるなど、なんらかのスタッフ強化策も必要になってくると思う。 9月からは、ロシアのワールドカップへ向けてのアジア最終予選が始まる。中島や南野ら、今回の経験をステップにA代表に加わってきそうなポテンシャルを示した選手が出てきたことは収穫だが、4年後の東京五輪を考えると、時間はあるようではない。リオ五輪の総括をしっかりと行い、次につながる施策を考えなければ、この大会へのチケットを勝ち取り3試合を戦った意義がなくなってしまう。 (文責・城彰二/元日本代表FW)