2024年度の企業の設備投資計画4年ぶりに減少~「コスト高」や「人手不足」響く
政府は、国際競争力強化を目的に半導体関連やデータセンターの新設などを中心に大規模な設備投資に対して補助金を投じている。さらに、人手不足に対応するための省人化・自動化に資するIT投資や生成AIなどの新技術導入、GXの推進など、中小企業の「稼ぐ力」を高めるための投資支援を積極的に行っている。 一方で、原材料価格の高止まりや慢性的な人手不足のほか、個人消費の低迷など国内景気は下振れリスクも多数あり、今後の設備投資動向への影響が懸念される。 そこで、帝国データバンクは、2024年度の設備投資に関する企業の意識について、全国の企業に調査を実施した。
企業の58.7%で設備投資の予定『ある』、1.8ポイントダウン、4年ぶりに前年を下回る
2024年度(2024年4月~2025年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資計画が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)と回答した企業は58.7%となった。前回調査(2023年4月実施)から1.8ポイント低下し、4年ぶりに前年を下回った。 他方、設備投資を「予定していない」企業は33.1%で、前回調査から2.0ポイント上昇した。 企業からは「最近、特に設備代金が高くなっており、以前の見積りの1.5倍程度の負担になるため、設備購入・更新が出来ない」(機械製造)といった声が寄せられ、設備投資にかかる費用の負担増を危惧している様子がうかがえた。 さらに、2024年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」ではコロナ禍以前(2019年4月実施)を上回る設備投資が予定されているが、規模が小さくなるほどその割合は小さくなり、企業規模間で濃淡がつく結果となった。
「設備の代替」が58.9%で最高、省力化投資やデジタル投資などが上位に並ぶ
2024年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対し、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、入れ替えや交換、更新など「設備の代替」が58.9%と、2年連続で5割を上回り、トップとなった(複数回答、以下同)。 次いで、「既存設備の維持・補修」(29.8%)や省人化なども含む「省力化・合理化」(25.7%)、「DX」(24.8%)、「情報化(IT化)関連」(22.2%)が続いた。 また、「物流の2024年問題の影響で配送時間の指定が難しくなるため、地下タンクの増量を行う予定」(専門商品小売)というように「物流関連(倉庫等)」(7.2%)も10位以内にあげられた。