MLBvs選手会バトルで開幕構想が暗礁…MLB最高トップが「開幕できるか自信ない」と発言すれば選手会は「不誠実な駆け引き。うんざりだ」と反抗
開幕が延期している今季のメジャーリーグが中止に追い込まれる可能性が出てきた。メジャーリーグ機構(MLB)のロブ・マンフレッド・コミッショナーが15日(日本時間16日)、米ESPNに「2020年のシーズンができるのか私には自信がない。選手会との協議がない限り、本当の危機が続くことになるだろう」と語ったもの。 マンフレッド氏は、先週、ESPNに「MLBが開幕するのは間違いない。ほぼ100%可能だ」と発言していたが、この日は、一気にトーンダウン。「オーナーたちはフィールドに野球を戻すために100%取り組んできた。残念ながら(今はシーズンが)行われるかどうか100%確かだとは言えない」と開幕構想が暗礁に乗り上げていることを明らかにした。 開幕に向けての年俸削減案についてメジャーリーグ機構側は12日、選手会に対し「72試合制。レギュラーシーズンの年俸の日割り70%、ポストシーズン完了で最大80%を保証」などの案を提案した。だが、選手会側は「日割り100%」を主張して拒否。13日に選手会のトニー・クラーク専務理事は、「残念ながらリーグとのさらなる対話は無駄」と声明を出して交渉の打ち切りを示唆していた。 この選手会の姿勢についてマンフレッド氏は、「我々の競技にとって、最悪の事態であることは疑いない。このようなことは起こるべきではなく、我々のファンのために何とか(苦難を)乗り越えてフィールドに試合を戻す方法を見つけ出すことが重要だ」とコメントした。 また健康と安全のプロトコルについて選手会と合意に達していないことについても「私たちは努力したが(彼らは)否定的であった」と語り、選手会を批判した。 さらに「残念ながらトニー・クラーク氏が、開幕に向けての意欲を宣言している間、選手会の弁護士は、彼らの要求を記者、選手、そして最終的にはオーナー達に連絡していた。彼らは、追加の10億ドル(約1080億円)を受け取る権利があると主張して苦情を申し立てることを考えていた。このような悪意のある作戦は、話し合いを前進させることを困難にする」と、選手会の動きを牽制した。 またロサンゼルスタイムズ紙によると、メジャーリーグ機構は、選手会に対して、「メジャーリーグ機構に対しての法的抗議を放棄しない限り試合を組まない」との強硬姿勢を伝える書簡を送ったという。オーナーたちも選手会に不服申し立ての権利放棄を求めている。 選手会側は、このマンフレッド発言に対して、さっそく反応。 トニー・クラーク専務理事は、以下の声明文を緊急発表した。 「マンフレッド氏は、選手たちやファンに対して『2020年シーズンは100%ある』とはっきりと語った後に、その発言を撤回する判断を下した。今はシーズンのすべてを中止にすると脅しており、選手たちは、うんざりしている。マンフレッド氏は、両団体(の関係)が『とても親密だ』と認めていた。つまり選手会が、健康と安全のプロトコルに関する進展をどうにかして遅らせようとしてきたという言及は完全な誤りなのだ。MLBは、最初から不誠実な交渉を続けてきた。選手たちから、さらなる給与削減を引き出そうとしており、今回の発言は彼らが続ける新たなもう1つの不誠実な駆け引きにすぎない」 強烈な反抗声明である。 メジャーリーグ機構と選手会の亀裂は、ますます深くなっており、ファンが待ち望んでいる開幕の見通しは立たないまま。「メジャーの開幕は来年の春まで待たねばならないのかもしれない」(USAトゥデイ)のような米メディアの見立ても出てきた。