【ラジオNIKKEI賞回顧】ハイペースの展開ハマったオフトレイル 今後は狙い時を見定めたいタイプ
奥深い福島競馬場
競馬好きが多い福島。その競馬の中心を担う福島競馬場は玄人好みの競馬場だ。レイアウトを見れば単純な小回りローカルコースだが、実に奥が深い。 【北九州記念2024 推奨馬】複勝率77.8%の強力データ持つ伏兵馬あり! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) JRA全10場で最も一周距離が短いながら、ゴール板付近から1コーナーにかけて下りながら最初のコーナーを迎える。コーナーに下り坂が加われば、遠心力が生じる。初角で膨らむようなことがあればロスにつながる。さらに序盤に下るので勢いをつけやすい。残り1000m付近で緩やかに上り、スパイラルカーブが設けられた4コーナーから再び少し下る。そして、残り200mからゴールまで緩やかに上る。高低差が大きいわけではなく、急坂というほどの壁ではないが、序盤と後半の微妙なアップダウンは最後の接戦に響く。 ざっくりいえば、小回り平坦なので先行押し切りが定番ではあるが、その意識が集中したとき思わぬ逆転劇が生じる。コース各所にある仕掛けが競馬を難しくしている。単純なようで奥が深い。だから福島競馬場は面白い。たまにオーバーペースによってレースが壊れる。今年のラジオNIKKEI賞はそんなしんどい競馬になった。 その最後のピースが開幕週の馬場だ。梅雨前線の影響をさほど受けなかった週末の福島は、土曜メイン・バーデンバーデンCが1:07.0のレコードタイ。日曜日も3歳未勝利芝2000mで1:58.1。過去10年間の七夕賞と比較すると2位タイに値する。ハイペースに高速決着が加わってしまえば、3歳同士の戦いではしのぎ切れる馬は少ない。ラジオNIKKEI賞勝ち馬オフトレイルの大外強襲にはそんな多くの要素が絡み合う。
緩みが一切ない道中
まず内枠に、逃げようと思えば逃げるタイプの先行馬たちが並んだ。先手主張はマイル戦で先手をとっていたメイショウヨゾラだったが、先行意識の強い馬たちを引き連れる形になり、1コーナーの下りでペースを落とせなかった。序盤600m34.5、800m46.4とレースは勢いよく進んだ。次の200mで12.0を刻み58.4。ここからゴールまで11.9-11.5-11.7-11.8と緩みは一切ない。 ほぼひと息で走り切るレースになれば、たとえ小回りであっても先行勢には厳しい。最後の上り区間も11.8。一旦は先頭に立ったシリウスコルトは大健闘であり、ハイペースのGⅠを経験しただけある。 勝ったオフトレイルはスタートで遅れ、最後方の追走。田辺裕信騎手らしい開き直りと展開読みが冴えた。これほど息の入らない流れには付き合わない方がいい。直線まで脚を使わなかったことで高速決着を乗り切った。 父Farhhは芝10ハロン英チャンピオンSの勝ち馬。その父Pivotalは芝5ハロンのGⅠ勝ち馬。ヌレイエフ系のスピードと持続力が息の入らない持久戦で騒いだ。オフトレイルも緩急を求められると上手く対応できないかもしれないが、一定のペースで流れる展開なら強い。ただ、今回は極端な形をとって重賞制覇を成し遂げた。これが毎回ハマるわけではない。今後も不安定なところがあり深追いはオススメできない。一発大駆けタイプとの付き合いは正直難しいところだが、血統的にはまだここから強くなる可能性は高い。それは覚えておこう。