米でサイバー攻撃被害広がる、財務省にも侵入-中国政府が支援の疑い
(ブルームバーグ): 米国の政治家や政府機関、重要インフラ提供企業の間で、中国系ハッカーの仕業とされるサイバー攻撃の被害が広がっている。
米財務省は12月30日、中国政府の支援を受けている疑いのあるハッカー集団が第3者プロバイダー経由で同省のネットワークに侵入し、一部の非機密文書にアクセスしたことを明らかにした。
詳細は依然として不明だが、米情報当局は今年、中国が「米国政府と民間部門、重要なインフラネットワークに対する最も活発で執拗(しつよう)なサイバー脅威」になっていると警告しており、今回のハッキングはそれを裏付けるものだと、サイバーセキュリティーの専門家らは指摘した。
外交問題評議会(CFR)でデジタル・サイバー空間政策プログラムのディレクターを務めるアダム・ シーガル氏は「ロシアは破壊的なサイバー攻撃を行っていることで大きく注目されている」と指摘し、米国最大の燃料パイプラインやウクライナの衛星ネットワークに対するロシア関連のハッキングに言及。一方の「中国は技術力と活動の範囲と規模から、より長期的な脅威となっている」と分析した。
中国当局は、国家支援のサイバー攻撃が行われているとする米国の指摘を否定している。外務省の毛寧報道官は北京での記者会見で、米財務省へのハッキングの背後に中国がいるという主張は「不当かつ根拠のないものだ」と発言。中国はあらゆる形のハッキングに反対しており、特に政治的な意図による中国関連の誤った情報の拡散には反対していると語った。
ただ、米政府当局者は中国のサイバー攻撃に対する批判を強めており、さらなる対抗措置を講じる方針を示している。
ホワイトハウス当局者は12月27日、中国による広範囲にわたるスパイ活動の影響を受けた9番目の通信会社を特定したと明らかにした。全社名は公表されていないが、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズは被害を受けたことを認めている。