幻のOWにまで派生した名機 1973年ヤマハ『TX650』【柏 秀樹の昭和~平成 カタログ蔵出しコラム Vol.12】
初期型後期のカタログは微妙に仕様が異なる?
1年後の1974年12月には特殊合金製バルブシート採用で無鉛ガソリン対応エンジンへ。この時代は人体に有害な有鉛ガソリンがまだ市販されていたのです。車体色はシナモンブラウンですがメタリック塗装採用で艶やかになりました。 ただし、玄関前でシルバーのジェットヘルを被っているカタログのライダーが乗るTX650のメーターボディは初期型のものと同一のメッキタイプなのに裏表紙の車両はメッキのない黒いボディのメーターになっています。当時は初期型とマイナーチェンジ型が大差ない場合「これでOK」としたのかもしれません。あるいは撮影現場やカタログ制作のスタッフは変更点に関する認識がなかったのかもしれません。寛容な時代だったとも言えます。 ──1974年、初期型後期のカタログ表紙。 1975年秋に登場のⅡ型と呼ばれるTX650はスターブラックとセイジブラウンの2色ともに独特のグラフィックを導入。エンジン系ではキャブの左右連結、マフラーの左右連結、ブローバイガス還元装置装備、吸気サイレンサー装備で騒音低減のほか、安全系ではブレーキパッド摩耗インジケーター、ストップランプ断線警告灯、リアブレーキライニング摩耗2mm以下警告灯、ガラス製シールドビーム式ヘッドライト採用。テールランプ光量アップなど安全装備が充実しました。 ──1975年登場のⅡ型。
マフラーはエンド部が細まった形状からテーパー式のスポーティなタイプとなり、エンド部がそれまでより高い位置へセット。小さなところではトリップメーターとオドメーターが逆転し、トリップメーターが下に配置されました。 1977年に入るとマキシマルーンカラーのⅢ型が登場。最高速度メーター表示が220km/hから200km/hとなり、フロントブレーキは対向ピストン式キャリパーを変更。キャスター角は変更せずにカタログ数値をそれまでの63度から、90度から63度マイナスの27度という今日的な表記へ変更。ロービーム走行中にバルブが切れたら自動的にハイビームになるヘッドライトを採用するとともに、バックミラーは右ひとつだったのが左右セット。GX750と共用の黒ボディとし、ヘッドライトステーはメッキタイプになりました。 ──1977年登場のⅢ型。
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