「愛犬のご飯は添加物ゼロの手作り食だけ」は危険?動物行動学のプロに聞く「犬にとっての理想の食事」
陽気がよくなり、オープンテラスで愛犬とくつろぐ人たちの姿が見られる。 ペット同伴可のカフェでは、様々な犬用メニューを用意しているところも多い。 大手料理サイトでも、「犬用チーズケーキ」「犬用ハンバーグ」「手作りジャーキー」から、おせち、バースデイケーキのレシピまで紹介している。 【写真】市販のフードだけでは、犬の「食べる楽しみ」を奪っていることになる? 家族の一員である犬と一緒に食卓を囲みたい気持ちは十分理解できるのだが、犬はこうした手作り食やおしゃれなカフェメニューは食べたいものなのか。 市販のフードしか与えない飼い主は、犬の「食べる楽しみ」を奪っていることになっているのだろうか。 東京大学、および大学院で獣医学を学び、在学中にカリフォルニア大学デービス校付属動物病院にて行動治療学の研究をされた高倉はるか先生の、ペットのお悩み相談に答える連載。 「ペットと人の双方が楽しく快適に暮らせるライフスタイル」を提案するはるか先生に、犬の理想的な食生活についてうかがった。(以下、はるか先生の言葉)。
肉食動物は肉だけを食べているわけではない
犬は肉食か、雑食か。よく聞かれる質問です。 犬の祖先と言われているオオカミは肉食です。「肉食」とは、野菜や雑穀を食べても消化できないということです。 一方の犬は長い歴史の中で家畜化され、雑食になりました。肉以外の野菜や雑穀からも栄養を吸収できています。 肉食と雑食とではもちろん食べるものが違いますが、行動学的にいえば、肉食動物だからと言って、肉だけ与えていればいいわけではありません。 野生のライオンやハイエナの狩りの映像を見ると、獲った獲物の内臓から食べ始めますよね。これは肉食動物にとって、草食動物の栄養分やミネラルの摂取がいかに重要かということです。 野生の肉食動物は、草食動物の肝臓や腎臓などの内臓を腸内細菌ごと取り込むことで、赤身や脂肪には含まれない栄養素を吸収し、免疫力をあげています。 生きている動物の中の生きたフレッシュな酵素は、特定の部位や加熱した肉では補えない豊かな栄養素です。