子どもが他人の服に触ってしまった…汚れていないのにクリーニング代請求されたら応じる必要ある?
損害賠償請求に応じる必要はない
はたしてトピ主さんは、クリーニング代を支払う義務があるのでしょうか。弁護士の正木さん(弁護士法人ユア・エース)によると、クリーニング代を損害賠償請求するには、<1>加害者の故意または過失<2>権利または法律上、保護される利益への侵害行為<3>損害の発生<4>侵害行為と損害発生との間に因果関係がある<5>加害者に責任能力がある――といった要件を全て満たす必要があります。 今回のケースでは、汚れが確認できなかったため、正木さんは「損害の発生」が認められるのは難しいと指摘します。「そもそもクリーニングに出す必要はなかったという見解になりやすいです。子どもに触られて不快だからという理由も、法律上、保護すべきものなのかが問われるでしょう」 正木さんによると、仮に「損害の発生」が認められたとしても、今回は未成年である6歳の男の子が加害行為をしているため、「加害者に責任能力がある」が認められず、原則として子どもの親が賠償責任を負うことになります。実際に損害賠償請求が認められるには、親が子どもの監視監督義務を果たしていたか否かが問われます。 正木さんは「行列に並んでいる間、子どもが周囲に多大な迷惑をかけ続けていたにもかかわらず、親がそれをずっと放置していたというような極端なケースでない限り、親権者の監督義務は尽くされていたと言えます。したがって、今回のケースで、そのようなことがなかったのであれば、親の法律上の責任が問われることはなく、損害賠償に応じる必要はないと言えるでしょう」と説明しました。 テーマパークはエンターテインメントの場だからこそ、不愉快なトラブルは避けたいもの。そのためには、自分だけでなく、周りの人たちも気持ちよく過ごせるよう、配慮して行動する必要がありそうです。 (読売新聞メディア局 長縄由実)