夢は「2人でタスキ」リレー 双子の日大・山口彰太・聡太、名門復活へ「憧れ」村山、設楽ツインズに続く!
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で2年連続91回目の出場となる日大に勢いを与えているのが、双子ランナーの山口彰太、聡太(ともに2年)だ。今季は10月の箱根駅伝予選会を力強く走り、チームは2年連続の箱根路を7位で決めた。今回は初めて2人そろって16人の登録メンバーに入り、初出場を狙う。中学、高校、大学と一緒に競技生活を歩む仲良しツインズが、優勝12回を誇りながら、ここ数年は低迷が続く名門復活の足がかりをつくる。 双子ランナーの絆が日大復活へのカギを握る。兄の彰太、弟の聡太は「2人で一緒にメンバーに入れたので、うれしい」と声をそろえた。箱根駅伝出場となれば、ともに初。彰太は「粘り強い走りがしたい。躍動感のある走りを見てほしい」と力を込め、聡太も「持ち味のスピードを生かしてチームに貢献したい」と新春の晴れ舞台を見据えた。 最高のライバルが、常にそばにいる。日々の練習から、一番に意識し合う存在。きつい練習で集団から離れそうになった時は「弟はまだついている。ここで垂れ(ペースが落ちる)られないって思います。試合でも同じ組の時は絶対に負けられない」と彰太。今月1日の日体大長距離競技会1万メートルで聡太が28分55秒47で自己記録を更新すると、次の組に出場した彰太も29分2秒78の自己ベストをマーク。聡太は「兄弟だからこその刺激がある」と切磋琢磨(せっさたくま)が成長を加速させている。 競技中はバチバチの兄弟だが、普段はとにかく仲が良い。足利二中の2年時に聡太が陸上部に入部を決めてから佐野日大高、日大と同じ道を歩んできた。現在はともに寮生活をする兄弟の存在について「頼もしい」と彰太。栃木に帰省すると一緒にジョギングをするのが通例で、聡太は「ボウリングとかも一緒に行きます。悩みとかあった時も相談しやすいですし、身近にいてくれるからのびのび生活できている」と感謝した。 これまで多くの双子ランナーが箱根駅伝を彩ってきた。2人の憧れは駒大と城西大で活躍した村山謙太・紘太兄弟と、東洋大で好走した設楽啓太・悠太兄弟。聡太は「動画、よく見ます。双子でああいう活躍がしたいな」と思い描き、「2人でタスキをつなげたら」と夢を掲げた。日大の優勝は1974年が最後で、今大会は前回の15位を上回る14位以上を目標に掲げる。一歩一歩、前へ。山口ツインズが名門復活への礎を築く。(手島 莉子) 〇…山口家の長女・帝京科学大の主将・山口あずさ(4年)=写真=は今季、全日本大学女子駅伝に初出場を決めた。10月5日の関東大学女子駅伝で突破を決め、吉報を聞いた彰太は「僕らもしっかり取らないと」と2週間後の箱根駅伝予選会を力強く駆けた。帝京科学大は初出場にして12位と健闘し、30日に行われる富士山女子駅伝の出場権もつかんでいる。彰太と聡太は「見ます」と観戦予定で、あずさも「(箱根を)双子で走ってほしい」と弟たちに期待した。 ◆箱根駅伝の主な双子ランナー 東洋大の設楽兄弟(兄・啓太、弟・悠太)は11~14年大会に4年連続で箱根路に出走して2回の総合優勝に貢献。1年時と3年時は2区と3区でタスキをつないだ。村山兄弟(兄・謙太=駒大、弟・紘太=城西大)は14、15年大会で2区対決を実現させた。 ◆山口 彰太(やまぐち・しょうた)2004年11月8日、栃木・足利市生まれ。20歳。足利二中から陸上部に所属し、3年時の全日本中学選手権は1500メートルで2位、3000メートルで4位。佐野日大高に進み、3年時に全国高校駅伝1区出場。23年に日大のスポーツ科学部に進んだ。自己ベストは5000メートルが14分8秒33、1万メートルが29分2秒78、ハーフマラソンが1時間5分33秒。168センチ、54キロ。 ◆山口 聡太(やまぐち・そうた)2004年11月8日、栃木・足利市生まれ。20歳。足利二中入学時はクラブチームでサッカーをしていたが、母に勧められて2年時から陸上部に入部。佐野日大高に進み、3年時は栃木県高校総体で1500、5000メートル優勝。同年の全国高校駅伝は3区出場。23年に日大の文理学部に進んだ。自己ベストは5000メートルが14分10秒55、1万メートルが28分55秒47、ハーフマラソンが1時間7分14秒。172センチ、56キロ。
報知新聞社