銀シャリ橋本のエッセイ集に、思わず「うるせーよ!」 佐久間宣行がツッコんだわけとは? 「まさかそんな体感になると思わなくて」(レビュー)
佐久間宣行・評「類を見ない“うるさい本”」
橋本くんとはこれまで色々とお仕事をご一緒してきましたが、一番濃い思い出は、僕が担当しているバラエティ番組『ゴッドタン』でしょうか。「銀シャリ橋本のテクニックを抜いてあげよう!」という企画です。 橋本くんはご存知の通り、銀シャリとして2016年にM-1グランプリのチャンピオンになり、その実力、特にそのツッコミについては語彙力、瞬発力、例えの巧みさなど誰もが認める芸人さんです。何度かお仕事していく中で、橋本くんが他のツッコミの方と圧倒的に違うと僕が感じたのは、その教養の豊かさ。ジャンルを問わない幅広い分野の固有名詞が次々に口を出て、背景に文化を感じるワードセンス。カルチャーが前面に出てくるのがすごく面白いなと。でも、橋本くん自身が「いじられるタイプの芸人さん」ではないから、人数の多いバラエティではなかなかツッコミを発動できなくて、その力を普段は出しきれていないようにも感じていました。だから、とにかく橋本くん一人に存分にツッコミ続けてもらって、彼のなかに蓄積された教養の埋蔵量を確かめていったら面白いんじゃないかと、例の企画を考えたんです。 いざ迎えた最初の収録は、それはもうめちゃくちゃ面白かった! 橋本くんのツッコミを軸にする企画だから、橋本くんにかなりの負担がかかって大変だろうといくつかコーナーも用意していたのですが、冒頭のプロフィール紹介からこちらが投げるボケに対して、とにかく一つも外さないし予想を超えたツッコミを畳みかけてきた。先輩芸人のMC陣も大笑いしながらも感心しちゃうくらいツッコミが冴え渡ってほぼカットする必要がなかったから、コーナーを減らしてもっと深く掘っていこうと軌道修正したくらいでした。この10月5日に同じ企画の5回目を放送したのですが、一つの企画を粘り強く続ける『ゴッドタン』でも、一人の芸人さんだけを主軸にした企画で5回もやるのはちょっと異例で、そのくらい人気の企画になりました。