「マウスピース型矯正」で起こりやすいトラブルはご存じですか? 対処法や口腔ケアの重要性も歯科医が解説!
もし、マウスピース型矯正中にトラブルが起こったら? むし歯や口内炎、マウスピースの変形などの対処法について
編集部: マウスピース型矯正中にむし歯が発生した場合、どのような処置が取られますか? 楊先生: マウスピース型矯正中にむし歯が見つかった場合、状況に応じて対応が変わります。小さなむし歯であれば、矯正治療と並行して治療をおこなうことが可能です。その場合、一時的にマウスピースを外してむし歯の治療をおこない、治療後はすぐにマウスピースを装着して治療を続けます。また、状況によっては応急処置だけおこない、矯正治療を続けることもあります。一方で、むし歯が大きい場合や症状が進行している場合は、一度矯正治療を中断してむし歯の治療を優先することもあります。その場合、矯正期間が長引く可能性があるため注意が必要です。 編集部: マウスピース型矯正中に粘膜のキズや口内炎が発生した場合、どのようなケアが必要ですか? 楊先生: マウスピースのエッジが原因でキズや口内炎が発生した場合、マウスピースを調整することで粘膜への当たりを緩和できます。また、塗り薬やうがい薬を処方したり、歯科医院によってはレーザー治療で症状を和らげたりすることもあります。ご家庭では口内を清潔に保つことも大切なので、多少痛みがあっても歯磨きは欠かさないようにしてください。通常、口内炎は1~2週間で自然に治りますが、痛みのためにマウスピースを長時間外すと、治療計画に影響が出る可能性があるため注意が必要です。 編集部: 以上の対応は、矯正治療を受けている歯科医院でおこなってもらえるのでしょうか? 楊先生: 矯正歯科専門医院のなかには、これらの治療に対応していない医院もあるので、その場合はほかの一般歯科医院での治療が必要になることもあります。治療中にトラブルが発生した場合の対応についても、治療前によく確認しておきましょう。 編集部: お口の渇き(ドライマウス)は、どのように対処したらよいでしょうか? 楊先生: まずは、十分な水分補給を心がけましょう。こまめに水を飲むことで、口内の潤いを保つことができます。加えて、お口が渇きやすい場合は、舌のトレーニングや唾液腺マッサージも効果的です。舌をよく動かしたり、唾液腺を優しくマッサージしたりすることで、唾液が出やすい環境を作り出すことができます。 編集部: マウスピースの変形や破損についてはいかがでしょうか? 歯科医院ではどのような対応をおこなっていますか? 楊先生: マウスピースが変形・破損した場合は、すぐに歯科医院に連絡することが大切です。軽度の変色や破損であれば、専用の洗浄剤や修理で対応できる場合があります。一方で、修理では対応が難しい場合は、新しくマウスピースを作り直す必要があります。いずれにしても、自己判断で使い続けると治療の効果が十分に得られなかったり、口内トラブルの原因になったりする可能性があるため、歯科医院に相談しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 楊先生: マウスピース型矯正の大きな利点は、ワイヤー矯正と比べて歯磨きがしやすいことです。したがって、毎食後の歯磨きは丁寧におこないましょう。一方で、矯正治療中は歯の移動によって、歯ブラシがうまく当てられなかったり、自分では磨けているつもりでも汚れが残っていたりすることが珍しくありません。そのため、定期的に歯科医院で専門的なクリーニングを受けることをおすすめします。ご自身の日々のケアと歯科医院での定期的なクリーニングを両立しながら、お口の健康を保っていきましょう。