”皇帝”プルシェンコ氏が北京パラ除外のロシア選手団にSNSで「彼らは伝説的存在」とエール…今回は政治色を避けた内容
フィギュアスケートのトリノ五輪金メダリストの“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ氏(39、ロシア)が5日、再び自身の公式インスタグラムを更新して北京パラリンピックに出場できなくなった母国のパラリンピアンたちにメッセージを送った。 ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けてスポーツ界も反応。次々とロシア選手の除外の動きが広まり、国際オリンピック委員会(IOC)は、各国の国際連盟にロシア選手の除外を勧告した。それでも、当初、国際パラリンピック委員会(IPC)は、ロシア、ベラルーシの選手団が、すでに北京入りしていたこともあり、中立選手としての立場での出場を認めたが、選手村でロシア、ベラルーシの代表選手団の安全を担保することが難しくなり、各国のパラ委員会からの抗議が殺到したため、開会式の前日に急転、出場除外を決断。6日にロシアの選手団は北京を離れた。 プルシェンコ氏は、RPC(ロシア・パラリンピック委員会)と書かれたニット帽をかぶったロシア代表選手たちのインタビュー動画をアップした上で、こうメッセージを添えた。 「私たちのパラリンピック選手は、このチャンスを8年間待っていました。そして彼らは再び出場できませんでした。2018年平昌五輪からロシアのチームは出場停止となり、一部の選手だけが中立選手の立場での出場が許可されました。そして今、私たちのパラリンピックアスリートは、(平昌パラリンピックに続いて)2回目の大会を続けて欠場します!!!! 壊すことのできない強いアスリート!私にとって、そして私たち全員にとって彼らは素晴らしい(アスリート)!強いアスリートとは壊れない人のこと! 私にとって、そして私たち全員にとって、彼らは本当に伝説的な存在です」 文書の締めに「力こぶのマーク」をつけて、出場予定だった8人のパラリンピック王者を含む70人以上の選手団へ熱いエールを送ったのだ。 ロシアは、独自に代替大会を用意、今月中旬にハンティ・マンシースクでコモンウェルス諸国の国際スポーツ大会が開催されることになった。2015年にパラリンピッ クに参加していない聴覚障がい者独自の国際大会「デフリンピック大会」が開催された場所で、ロシアメディアの「スポーツRU」によるとパラリンピックと同じく、金メダルで400万ルーブル(約370万円)、銀メダルで250万ルーブル(約230万円)、銅メダルで170万ルーブル(約157万円)の賞金も授与されるという。 プルシェンコ氏は、21日からフランスのモンペリエで行われるフィギュアの世界選手権からロシアの代表選が除外され、北京五輪の女子シングル金メダルのアンナ・シェルバコワ(17)、銀メダルのアレクサンドラ・トゥルソワ(17)、ドーピング違反問題もあり4位に終わったカミラ・ワリエワ(15)らが出場できなくなった際にも“怒り“のインスタを投稿。 「黙っていられません。スポーツと政治を混合することはできないのです。この決定は間違っています。これは差別です。スポーツの権利を侵害することはできません。みんなが平和を望んでいて、私も望んでいます。一刻も早くすべてが解決し(停戦)交渉が実を結ぶことを心から祈っています。私は私たちの大統領を信じています」などという長文メッセージで、出場禁止の措置に抗議していた。 だが、この「大統領を信じている」という部分のコメントが、一部で軍事侵攻を主導しているプーチン大統領を支持するものとして受け取られ、国内外で波紋を呼び、ネットは大炎上。日本を含む西側諸国からの大バッシングを浴びる騒動になっていた。 今回も北京パラリンピックからのロシア選手団の除外の決定のニュースに黙っていられなかったようだ。ただ今回は前回投稿の非難を意識したのか、政治的な色合いを避けた内容となった。 プルシェンコ氏は、男子シングルで、ソルトレイク五輪銀、トリノ五輪金、バンクーバー五輪銀の3大会連続でメダルを獲得したフィギュア界のレジェンド。2017年に引退すると、モスクワ市内にスケート学校「エンジェルズ・オブ・プルシェンコ」を開校し、現在、後進の育成に尽力している。