「フェンシングのまち」沼津から脇田樹魅が世界へ…12・5フランスで開幕のグランプリ大会出場
フェンシング女子サーブルの脇田樹魅(25)=沼津信用金庫=が、12月5日にフランスで開幕するグランプリ大会に出場。「フェンシングのまち」を標ぼうする沼津市を拠点とするホープが、主要国際大会で初の表彰台を目指す。 上り調子を実感している。11月8日からのW杯アルジェリア大会で自身最高位のベスト8入り。同24日に沼津市で行われたランキングマッチでは準優勝。世界選手権を連覇し、8月のパリ五輪で団体銅メダルに導いた江村美咲に2年連続決勝で敗れたが、「昨年より手応えはありました。あと数ミリ、ギリギリの攻防ができました」と明かした。 沼津市は19年に日本フェンシング協会と連携協定を締結し、21年には練習拠点「F3BASE」が完成した。日本女子体育大を卒業した脇田は22年、沼津信用金庫に入社。元五輪代表・長良将司氏(47)の指導を受けている。 社会人2年目の昨年、「分からなくなった」という時期があった。原因は対人競技という特性だ。「私以外の日本代表選手は(東京の)ナショナルトレーニングセンターで練習している。会社の人も心配して話をしてくれました」。今年から、沼津ではトレーニングや栄養管理に重点を置き、海外遠征の1、2週間前から東京で合宿を行い、ハイレベルな相手と実戦を重ねるようにした。その効果は結果となって表れている。 日本女子サーブルは江村を筆頭に世界レベルの選手がそろう。脇田は「いい環境と思っています。切磋琢磨(せっさたくま)して日本チームが強くなり、そこで勝てば世界でも勝てる」と臆することはない。「経験を積んでメンタルも強くなってきた。スピードを強化すれば」と長良コーチ。地元の福岡・筑紫野市と「何か似てるんです」と住みやすさを感じている沼津から世界の表彰台へ、一歩ずつ近づいている。 (武田 泰淳) ◆脇田 樹魅(わきた・じゅみ)1999年5月10日、福岡県生まれ。25歳。2010年、運動能力に優れた小学生を様々な競技で適正を見いだす福岡県のタレント発掘事業に合格。中学から東京に移り、12年にJOCエリートアカデミー入校。15年にアジアカデ選手権優勝。全日本選手権は昨年の2位が最高。国内ランク3位、世界ランク68位。左利き。159センチ。 ◆日本女子サーブル陣 パリ五輪の団体銅メダルメンバーは江村の他、高嶋理紗、福島史帆実、尾崎世梨。脇田は世界ランク68位で五輪メンバーに次ぐ5番手。江村は22年5月にW杯初優勝し、よりポイントの高いグランプリ大会は江村、高嶋が表彰台に立ち、さらにポイントが高い世界選手権を江村は2連覇している。
報知新聞社