「仕方なく食べる日」をなるべく少なくする、大好きなものは年2回まで。料理研究家・瀬尾幸子【白央篤司が聞く「50歳からの食べ方のシフトチェンジ」vol.2】
もう1回食べたいな、と思うぐらいで
──季節感といえば、本書の中に旬の好物として豆ごはんが紹介されていますが、「大好きなものは年2回までと決めている」、とも添えられていました。これはなぜですか。 飽きたくないから。もう1回食べたいな、と思うぐらいで止めておく。来年、またものすごく楽しみに食べたいの。私、今65歳だからあと15年経つと80歳じゃない。ということは季節それぞれを体験できるの、80歳まであと15回なんだよね。そう思うと、1回1回を大事にしないとって思うわけ。 「知らないもの、作ってみたいもの、食べたいもの、まだまだあるの。だけど食事の回数は限られているからね」と瀬尾さんは結んだ。食事の回数が有限であることを、人間は忘れがちなもの。一食をおろそかにしないという気持ちは緊張感にもつながるだろう。それは体と心にとって、心地よい刺激に違いない。 取材を終えた帰り道、「ちゃんとしたいこと、そうでなくてもいいこと」を しっかり分けて考える、という言葉が思い出されてならなかった。私は今年で49歳。次の年代に入る前に、食生活における「これだけは譲れない」ということは何か、絞りぬいて考えてみようと思った。 第3回は近日公開予定、60代後半とその先の食生活を考えます。
取材/撮影/文・白央篤司 編集・アライユキコ
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