シャドーボクシングを行うWBA世界同級王者井上拓真（撮影・中島郁夫）

　プロボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真（28＝大橋）が3日、横浜市の所属ジムで3度目防衛戦に向けた公開練習に臨んだ。13日、東京・有明アリーナで同級2位堤聖也（28＝角海老宝石）の挑戦を受ける。シャドーボクシング、サンドバッグ打ちを各1ラウンドずつ披露。試合が10日後に迫る中、体重もリミット（53・5キロ）まで残り4キロまで落ち、総スパーリング数は78ラウンドになったという。 　高校2年に1度戦い、勝っている堤から「12年間ずっとあったもの」とリベンジへの魂をぶつけられている。井上は「圧倒して勝てるように。しっかり返り討ちにして勝ちたい」と言葉に力を込めた。世界初挑戦の堤に対し、井上は6度目の世界戦。高校3年時のプロデビュー戦は後にWBO世界ミニマム級王者となった福原辰弥に判定勝ちしたことを皮切りに、対日本人戦も過去7戦全勝だ。試合用Tシャツには「OVERPOWERED　BLOW（圧倒的な一撃）」と記すなど「格」の違いを見せつける腹づもりだ。 　井上が「タフですごく気持ちの強い選手だなとすごく感じる」と警戒する堤対策も念入りに進めている。堤とスパーリング経験を持つ4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥（31＝大橋）がマスボクシング（軽めのスパーリング）の相手を務め、攻略方法を練ってきたという。公開練習には堤陣営の石原雄太トレーナーが視察しており、詳細は明かさなかったが「（兄と）多分、10ラウンド以上はやっている。手応えはバッチリあります。細かくは言えないけれど準備はバッチリです」と自信の笑みを浮かべた。 　父真吾トレーナー（53）は「ナオ（尚弥）がいろいろ想定してくれる中、全部反応して対応して。プラスアルファのアドバイスしたら忠実にやってくれるのですごくいい」とうなずいた。所属ジムの大橋秀行会長（59）も「すごく尚弥が堤の特長をとらえていて、それに拓真がすぐに反応していて。安定感抜群だよね」と太鼓判を押した。 　井上の3度目防衛戦の翌日14日にはWBC世界同級王者中谷潤人（26＝M・T）が2度目の防衛戦を控えている。同じタイミングでの防衛戦に両者が勝てば、来年には統一戦の期待も高まる。井上は「ずっと言っているが中谷選手との統一戦。そこが決まれば自分自身もすごく高ぶりますし、やらせてもらえるなら、いつでも大丈夫。それに向け、まずは堤選手にしっかりと勝たないといけない。堤選手に集中して勝ちたい」と気を引き締めていた。