北朝鮮で市民が核や化学兵器攻撃などに備えて政府から購入させられた“高価な防護服”をレインコート代わりに使用 当局は激怒も地方担当者は見て見ぬ振り
北朝鮮の市民が、他国からの核攻撃や化学兵器攻撃などの緊急時に備えて購入させられた防護服をレインコート代わりに使用していることが明らかになった。政府で民間防衛を担当する査察官はこの実態に怒り心頭だというが、地方の当局者は「日ごろから着慣れていれば、いざというときに役に立つ」などの理由で、見て見ぬふりをしているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮では最近、韓国国境の施設を破壊したり、米韓両軍と戦闘の準備を整えたりなど、緊張が高まっていることから、政府が1世帯に1セットの防護服を購入するよう呼びかけており、市民はしぶしぶ自前で購入せざるを得ないという。 しかし、防護服といっても、特殊なフィルム付きのマスクもなく、ただ体に密着するようなジッパーやフードが付いているだけの、いわばレインコート状ものだという。 とはいえ、北朝鮮の物価から考えると、防護服1セットの価格は1万7000ウォンで、コメ3キロ分に相当し、北朝鮮市民の庶民感覚からすると、「とんでもなく高かいもの」だったという。 しかし、すぐに核攻撃や化学兵器攻撃が起こるはずもなく、市民らは雨が降った際の外出用のレインコートの代わりに使ったり、日が照っているときの屋外の作業や農作業での日よけ用として使用したりしていたという。 たまたま政府の査察官が地方を視察していた際、そのような状況を目撃し、党中央に報告したことで、実態が発覚。 ところが、地方政府では、高い防護服を買わされた住民が強い不満を抱いていることをよく知っていることから、防護服をレインコート替わりや日よけ用として使っていたことについて、まったく注意をしていなかったとの実態が分かり、さらに中央政府の担当者の怒りを買っているという。