11代当主・定矩収集など62点展示 旧長谷川家で全国の陶磁器 三重・松阪
江戸~昭和、生活支える
三重県松阪市魚町の旧長谷川治郎兵衛家で現在、長谷川家代々の生活を支えてきた陶磁器を中心にした企画展「長谷川家暮らしのやきもの」が開催されている。当主の趣味や暮らしぶりを伝える全国各地の陶磁器を展示している。来月5日まで。 長谷川家は、江戸時代後期から昭和にかけて全国各地から陶磁器を収集、普段の生活に取り入れており、その数は500点に及ぶ。代々当主は茶道にも通じ、佐久間信春が江戸末期に井村町に開窯した「百々川焼(どどがわやき)」に始まる松阪万古との関わりも深い。 特に、11代当主の定矩(さだのり)は1907(明治40)年に、信春の息子・芳春に「徳和焼」と命名するように勧め、実際、その名が一部の茶道具に使用されたこともあるという。また、定矩は明治後期から大正時代にかけて餅が描かれた皿や餅屋の看板などを収集し、それらを公開展示するために、長谷川家の敷地内に「餅舎(もちのや)」と称する建物を建てた。 会場には、定矩が集めた、餅屋で使われていた皿や急須の他、長谷川家当主が茶道で愛用していた松阪万古の「赤絵獅子鈕(あかえししつまみ)香炉」(大正時代)、信楽焼の「耳付水指」(江戸後期)、あえ物や酢の物などの少量の料理を盛り付けるのに使われた伊万里焼の「染付・色絵猪口(ちょこ)」(江戸後期~明治時代)、七福神の一人で長寿を授けるとされる京焼の「寿老人」(大正~昭和)の置物など暮らしを彩った62点が並ぶ。 開場は午前9時~午後5時(入館は同4時半)、毎週水曜と、年末年始は30日~1月2日休館。入館料は一般400円、6歳以上18歳以下200円。 問い合わせはNPO法人松阪歴史文化舎TEL0598(21)8600へ。