「バイデン氏は支持受けた労組のため買収阻止」日本製鉄の主な主張
日本製鉄は6日、USスチールと共同で、バイデン米大統領が出したUSスチール買収計画の中止命令の無効を求めて提訴した。両社の主な主張と日鉄のコメントは次の通り。 【表】粗鋼生産量、USスチールを買収すると何位に? ◇両社の主な主張 ▽バイデン氏は大統領選で支持した全米鉄鋼労組(USW)執行部に対する約束を守るため、米国の国家安全保障の審査制度を何カ月にもわたって不当に利用した後、本買収を阻止する大統領令を発令した。 ▽バイデン氏はUSW執行部の支持を取り付ける目的で、対米外国投資委員会(CFIUS)が正式な審査を開始すらしていない2024年3月に、本買収を阻止する計画を発表した。 ▽CFIUSは本買収に関する国家安全保障上の懸念に言及した。その内容は事実誤認に満ちており、USW執行部と同じ主張を繰り返すものだった。 ▽CFIUSの審査は、当局から対案の提示を受けて実質的な協議が行われるが、実質的な協議を行うことすらも許可されていなかった。審査が、バイデン氏が事前に下した決定を裏付ける結果となるように操作されていたことははっきりとしており、審査対象者が保障されるべき適正手続きに明確に反する。 ▽CFIUSは全会一致に至らなかったと述べ、本買収にかかる判断をバイデン氏に付託し、本買収を阻止できるようにした。 ▽CFIUSは、国家安全保障上の懸念に関して、政治的に中立な立場から誠実に審査及び調査を行うのではなく、バイデン氏の政治的目的を支援するために、あらかじめ決められた結果に達するための審査手続きを行った。 ◇日鉄のコメント ▽日本は米国の長年の同盟国であり、これまで大統領が国家安全保障上の理由で日本企業による取引を阻止したことは一度もなく、これまで米国の製鉄事業の買収が阻止されたこともない。これは買収企業がロシアのように米国に直接的な国家安全保障上の脅威をもたらす国に所在していた場合であっても同様だ。 ▽日本製鉄とUSスチールは、米国の国家安全保障の審査制度が、選挙に勝利する目的で政治的な恩恵に報いるために、これほど明白かつ不適切に悪用されたことに失望している。 ▽日本製鉄とUSスチールは、公正な手続きを受ける権利があり、今回の決定とそれに至る審査過程の当否を法廷で争わざるを得ない。日本製鉄とUSスチールは、米国の法制度は高潔で公平であり、申立人の申し立てが公平に審理され、公正な結果が得られることを期待し、信じている。