「定年まで勤め上げた」野々村真、22歳で『ふしぎ発見!』60歳で番組終了の心境を語る
今までになかった“珍回答枠”が誕生
次の転機は22歳のとき。1986年に始まった『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)に出演が決定。司会の草野仁のもと、黒柳徹子らと肩を並べレギュラーを務めている。そこで注目を集めたのが、野々村の“珍回答”だ。 「僕はボケていたつもりはないし、いつも一生懸命答えていたんですけど……」 野々村の登場で、それまでのクイズ番組にはないポジションができた。いわゆる“五枠”で、4人目までは真剣に答えを捻(ひね)り出し、5人目がボケてオチとなる。後のクイズ番組ではその枠を芸人たちがこぞって狙いにいった。 とはいえ野々村も珍回答ばかりで終わらない。初めてパーフェクトを出したのは20年目で、これはやはり忘れられない思い出だと話す。 「4問中3問まで正解したことは何度かあるんです。今日パーフェクトを取るんじゃないか、今日こそは─と言われながら、やっと取れたのが20年目。 帝国ホテルで盛大にパーティーを開いてくれて、僕も感極まって泣いちゃいました。たかがクイズでそんな大げさなって感じだけれど、それくらい奇跡的なことだったってことですよね」 国民的人気番組として愛されてきた『日立 世界ふしぎ発見!』だが、今年3月、38年の歴史にレギュラー番組としてはピリオドを打つ。寂しい思いがあるのでは? 「寂しくはありましたけど、でも役目は果たしたかなっていう気持ちもあって……」 かつては家族そろってテレビを囲み、土曜の夜になると番組にチャンネルを合わせた。しかし時代が変われば娯楽のスタイルもまた変わる。 「22歳で番組が始まり、60歳で終わった。これって大卒の人が新入社員で会社に入って、社会人として定年まで勤め上げたのと同じですよね。そう考えると、自分の中で一つの区切りなのかなと思います」 この38年で、結婚し、家庭も持った。野々村といえば恐妻家で知られてきたが、今となってはどうなのか。時にはケンカをするようなことは? 「ケンカしたら疲れちゃう。頑張った時はありましたよ。でも1つ言うと10以上返ってくるから、もう素直に参りましたって言ったほうがいい。今は反抗する気力も体力もすっかりなくなりましたね」 数年前、お小遣い制が廃止に。「一生分のお小遣いを渡されました」と打ち明ける。 「どうしても、自分ではやりくりできない。一生分にしてはちょっと足りないのだけど、使えるお金が多めにあると、余計なことに使っちゃう。それを元手に投資とかやったけど、一切ダメでお金は増えず。 そういうことも見抜かれているんでしょうね。やっぱり奥さんの言うことを聞いていたほうがうまくいくってことです」