創成館、春キャッチ 「輝くプレーで恩返しを」 /長崎
<センバツ甲子園> 24日に大阪市で開かれた第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、創成館の2年ぶり4回目となるセンバツ出場が決まった。出場決定の知らせに野球部員たちは喜びにわき、大舞台での活躍を誓った。全校生徒からも熱いエールが送られた。大会の組み合わせ抽選会は3月13日にあり、同19日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【中山敦貴、松村真友】 午後3時40分ごろ、校長室の電話が鳴り、奥田修史校長(48)がセンバツ出場決定の連絡を受けた。「ありがたくお受けします」。電話を切った奥田校長は、満面の笑みで稙田(わさだ)龍生監督(55)らと握手を交わした。 体育館で待機していた選手たちは、奥田校長から「夢の甲子園おめでとう!」と祝福されると、歓喜の表情で稙田監督を胴上げ。上原祐士主将(2年)は「ウルッと来た」と感慨深げ。猿渡颯選手(同)は「3年生は最後の春、夏に甲子園の土を踏めずに引退した。先輩の悔しさを晴らすようなプレーで恩返ししたい」と決意を語った。今後はメンバー争いも激しくなるが、藤川力也投手(同)は、「冬を乗り越えれば必ず結果は出ると信じている」と決意を語った。 稙田監督は「3年の思いを1、2年が受け継いでくれた。今からが大事」と気を引き締めた。 上原主将の父元治さん(51)は「諫早を盛り上げるためにも、創成館で野球をしたいという子が増えるような素晴らしい活躍をしてほしい」と期待を込めた。 ◇粘り強さと堅守を評価 創成館は、2019年秋の九州地区大会で4強入り。準決勝で、優勝した明豊(大分)と接戦を演じた粘り強さや堅い守りなどが評価された。 投手層は厚く九州地区大会の3試合は、エースの左腕・白水巧投手(2年)が先発し、右腕・藤川力也(同)、左腕・松永知大(1年)の両投手が継投。バックも無失策でもり立てた。 九州地区大会でのチーム打率は3割4厘と打力の向上が課題だ。個人打率が5割8分3厘とチームトップだった猿渡颯選手(2年)も「長打が少なく、打球の速度もまだまだ」と、全体練習の後にも黙々と素振りに取り組む。 18年春にセンバツ初勝利と8強入りを果たした創成館。さらにチーム力の底上げを図り、今回は優勝を目標に据える。 ◇持ち味発揮して 宮本・諫早市長 創成館のセンバツ出場決定を受け、県高野連の西田哲也会長は「甲子園でも気負うことなく、創成館らしいはつらつとした試合を」と談話を発表。諫早市の宮本明雄市長は「甲子園出場は『スポーツのまち』を推進する市にとって誠に喜ばしく、市民の誇り。本番では、チームの持ち味を存分に発揮し、頂点を目指して勝ち進むことを期待し、市民と熱い声援を送りたい」とのコメントを出した。 ◇栄光の架橋斉唱 ○…センバツ出場決定を受け、体育館では全校生徒による祝賀会があった。吹奏楽部が野球部が得点した時の応援テーマ「エリーゼのために」を大音量で演奏すると、生徒たちは両手に持った赤メガホンを打ち鳴らして喜びを表現。その後は、全員で肩を組んで、ゆずの「栄光の架橋」を斉唱した。チアリーディング部の光武千里さん(2年)は、「甲子園でも選手たちの背中を押せるように、創成館の名に恥じぬ応援をしたい」と話した。元吹奏楽部員で2年前のセンバツで応援した久柴京味(きょうみ)さん(3年)は「前回は選手も応援する生徒も一体になっていた。創成館らしく最後まで諦めずに戦ってほしい」とエールを送った。 ◇号外1000部発行 生徒らに配布 創成館のセンバツ出場決定を受け、毎日新聞は24日、号外1000部を発行し、同校などで生徒や保護者に配布した。 号外では昨秋の九州地区大会と県予選の戦いぶりなどを紹介。試合の様子や練習風景も掲載した。 坂口英幸選手(2年)の母涼子さんは号外を手に「子どもの頃の夢がかない、おめでとうと言いたい。毎日できることを積み重ね、大会を迎えてほしい」と笑顔だった。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇九州地区大会県予選◇ 1回戦 8―0 対馬 2回戦 7―2 松浦 3回戦 8―3 五島 準々決勝 1―0 長崎商 準決勝 7―0 鹿町工 決勝 2―4 大崎 ◇九州地区大会◇ 1回戦 4―2 熊本国府 準々決勝 4―3 宮崎日大 準決勝 2―3 明豊 〔長崎版〕