マイホーム購入は「買い物」ではなく「プロジェクト」だ!持ち家or賃貸論争は“損得勘定”で考えなければ解決する
「賃貸か持ち家か」論で大切な焦点
物件に関して、「賃貸が得か?持ち家が得か?」という話題は尽きません。 さまざまな有識者がさまざまな観点から、どちらのほうがいいと言っている雑誌やウェブの記事を見かけますが、私の本音としては、実は「損か得かなんて、どちらでもいい」と思っています。 大切なところにフォーカスすれば、「賃貸か、持ち家か」は、それほど重要なことではありません。 賃貸住宅に住むことは「他人が所有する家に自分と家族が住むこと」であり、持ち家に住むことは「自分が所有する家に自分と家族が住むこと」です。 どちらが得か問題は「貸借対照表」で考えると明白になります。 「貸借対照表」はバランスシートとも呼ばれ、企業の財務状態を明らかにするために、資産・負債・純資産の状況を表した決算書のひとつのことです。 「資産」は財産のことで、所有している現金、預金、不動産がこれに当たります。「負債」は借金のことで、住宅ローンなど。「純資産」は「資産」から「負債」を引いた差額になります。 「純資産」が厚いと安心ですが、逆にマイナスになった場合は「債務超過」と言われる状態になり、企業であれば倒産をしてしまいます。 個人になると、融資を受けることができなくなったり、債務整理をして、最悪の場合は自己破産が必要になる可能性も出てきます。
賃貸?持ち家?損得勘定はナンセンス
住宅ローンで家を購入することの定義を聞かれたとき、私は「35年ローンならば、420回、銀行に決まった金額を払うこと」と答えるようにしています。 もちろん、これが正確ではないことは十分承知のうえですが、誰にでも当てはまる本質と言えます。 毎月決まった日までに、トータル420回もお金を振り込むと考えると、気の遠くなるような話です。 要は、住宅ローンで家を購入するということは、自分と家族の人生と生活を守るための「貯金」という資産と、その源泉になる「収入」に対して、妥協のない意思決定が求められるということです。 仕事をして収入が得られる現役世代だけでなく、リタイア後も生きていく限りはどこかに住まないといけません。 住宅ローンという420回のミッションをしっかりと達成し、老後も生活し続けられるよう、妥協のない資金計画を練らねばなりません。 建物の老化に伴う修繕やリフォームなどが必要になる可能性も高いですから。 もちろん賃貸物件に住む際にも、家賃を払い続けなければなりません。持ち家であろうが賃貸物件であろうが、将来にわたり、お金は必要だということです。 つまり、「賃貸が得?持ち家が得?」という損得勘定で考えることはナンセンスなのです。 本当に大切なことにフォーカスすれば、どちらが得かという問いは、それほど重要ではないのです。