豪邸の必須アイテムのアートをプロはどう飾る?建築家やデザイナーの住空間をチェック!
アートは存在感があるものだからこそ、そのセレクトや配置にも工夫が必要です。建築家は、どのような空間づくりをしているのでしょうか? アートコレクターの自邸やプロの選定によるスタイリングによって実現した美術館のような住まいをご紹介します。 【写真で見る】人気建築家とアートがつくり出した美しい住空間
「ギャラリー」と「住宅」── 性質の異なる空間を融合させる〈設計:大嶋 励、インテリアコーディネート:山口陽平+櫻井雅之〉
ドナルド・ジャッド、名和晃平、KAWS、レギーネ・シューマンなど――飾られているのは、世界的に著名な現代アーティストによる作品の数々。この家はアート好きの住み手のために、コレクションが映える空間へと調えられたマンションリノベーションの実例です。普通の住宅よりもひと回りゆったりとしたスケール感がギャラリー的であると同時に、どこに目を転じても複数のアートが視界に入るという美しい環境を生み出しています。 特に注力したのが内装材選び。もともと赤茶の木が多用され主張の強かった部屋を、アートの背景になるニュートラルな印象に変える必要がありました。一方で、美術館のように無機質になりすぎては、日常生活の場として心地よくない。トーンを抑えた一定の色合いのなかで、木や石など質感のあるマテリアルを繊細に組み合わせることで、住まいとしての温かみや落ち着きをもたらしています。 【DATA】 渋谷の家 プロジェクトディレクション・インテリアコーディネート/TRAIL HEADS, Inc. 山口陽平+櫻井雅之 建築家名/SNARKInc. 大嶋 励 撮影/小林 久井
美術館級のアート作品とインテリアが繊細に共鳴する 〈設計:田中俊彰〉
住み手夫妻からキッチンの増築を依頼された建築家の田中俊彰さんが提案したのは、既存建物1階のLDK+和室という間取りを、DK+バスルーム+離れのリビングに変更するという大規模なリノベーションと増築でした。眺望のよい敷地のポテンシャルを生かし、日常のハレの場となるよう、景観を生かす開放感と視線のヌケ、家具を配置したときの間延びしない余白などを優先した結果、天井高3.5mの2面開口のリビングが生まれました。 この住まいの魅力をさらに高めているのが、アートの存在です。作品選定のアドバイスは、経験豊富なベイスギャラリーの大西利勝さんが担いました。「建築が無二の眺望を生むのと同じように、家のなかに住み手だけの景観をつくるのが絵画の役割といえるでしょう。アートは住まいを唯一の場所にする道具です」。大西さんは複数の候補を空間の使用目的やインテリアに合わせて住み手夫妻に解説しながら提案しました。 【DATA】 下関の家 建築家名/田中俊彰設計室 田中俊彰+高城聡嗣 撮影/下村康典