借金11で最下位低迷も…中日の右腕に他球団から「日本で最も攻略が難しい投手」
投げるごとに増すすごみ
登板を重ねるたびにすごみが増していく。7月12日の阪神戦(バンテリン)で8回3安打11奪三振無失点。19日の巨人戦(バンテリン)も8回4安打12奪三振無失点で今季7勝目をマークし、阿部慎之助監督が「脱帽です」と白旗を上げた。一方で、高橋宏は謙虚だ。お立ち台に上がると、「(先制アーチを放った)細川(細川成也)さんが一発打ってくれたので楽にマウンドに上がることができましたし、すべて細川さんのおかげです。ありがとうございました」、「本当に加藤(加藤匠馬)さんが長くリードしてくれたので、しっかりと投げ切れたかなと思います」とチームメートに感謝の念を口にしていた。
次元が違うレベルの変化球
他球団の打撃コーチは、高橋宏のすごさをこう分析する。 「変化球の質が他の投手と違う。もちろん直球もすごいが、140キロ近いカットボール、スプリットが途中まで直球と同じ軌道で来るので対応が難しくなる。速い球に照準を合わせると、ナックルカーブで緩急をつけてくるのも厄介です。昨年までは抜けた球が見られたが、今年は制球力も良くなっているので四球で崩れることもない。ちょっと次元が違いますね。今、日本で最も攻略が難しい投手だと思います。オリックス時代に対戦した山本由伸に近い感覚ですかね。2点を取られたら厳しくなる」 中日は先発陣が盤石と言えない。柳裕也、大野雄大、涌井秀章と実績ある投手たちがファームで調整し、計算できる投手が少ない。後半戦最初のカードなった阪神戦は同一カード3連敗で借金は今季ワーストの11に。28日の同戦では9回に2点ビハインドを追いついたが、延長11回に守護神のライデル・マルティネスが森下翔太にサヨナラ適時打を浴びて力尽きた。ヤクルトと入れ替わり、最下位に転落。負けられない試合が続く中、高橋宏は名実共にエースとなれるか。 写真=BBM
週刊ベースボール