オリックス・山本由伸 インタビュー 答え合わせはまだ続く「やってきたことは間違ってないんだって。 でも……」
2022年への糧
個人15連勝で18勝と圧倒的な成績を残したオリックス・山本由伸だが慢心はない。足元を見つめつつ2022年はさらなる高みを目指す[写真=毛受亮介]
底知れぬ投球を見せた2021年シーズン。個人15連勝を飾って投手タイトルを総なめにし、初の沢村賞に輝くなど圧巻の成績を残した。ただ、成績や数字は、1つひとつの鍛錬が呼んだもの。21年の好結果から得た自信は、次なる答えを出すための肥しとなる。早くも見据える22年──。果たすべきリベンジのマウンドへ、準備にも余念はない。 取材・構成=鶴田成秀 写真=毛受亮介、BBM 日本シリーズの熱戦を終えた約1週間後。シーズンで18勝5敗、防御率1.39、206奪三振と圧倒的な成績を残した23歳右腕の表情は充実感にあふれていた。ただ、口を開けば、悔しさもにじみ出る。リーグ優勝を果たすも、日本一には届かなかった21年。勝つ喜びと負ける悔しさが“無双”の右腕をまた強くする。 ──山本由伸が山本由伸を表すなら「まだまだ、これからなピッチャー」と言っていました。圧巻の成績を残した今季を終え、その表現に変化はありますか。 山本 う~ん、変わりません。同じです。やっぱり「まだまだ」「これから」です。 ──残した成績の数々からも、自信を得たと思いますが。 山本 でも最後、日本シリーズで負けてしまったので。今年は交流戦も優勝できて、オリンピックでも金メダルを獲れて、リーグ優勝してCSも突破しました。ずっと勝ってきた中で、最後に悔しい試合で終わって。もちろん日本一になりたかったですけど、結果として“負けたこと”を良いほうに向けていきたい。悔しさがあるから、オフに頑張れるし、来年に向かっていけると思えるんです。ホントに悔しい思いで終わったので、それをプラスに変えていきたい。だから「まだまだ」「これから」なんです。 ──では、今年残した数字は、自分の中でどのように受け止めているのでしょう。 山本 数字や成績は、純粋にすごくうれしいですし、良い結果で終われたな、とは思います。それに、数字は“答え合わせ”でもあると思うので。自分がやっていることが合っているのか──。やっぱり数字は、誤魔化(ごまか)せないですから。だから、今年の成績に対して、やってきたことは間違ってはないんだな、と。 ──今年は短期決戦の日本シリーズでの登板もありました。シーズンと違う“答え合わせ”の結果も出たのでは。 山本 1試合、1球がより大事になりますからね。だから緊張も出てくるんだと思います。けど「ここまで来たんだから」と吹っ切れる部分もありました。もうやるしかない、と。答えを合わせるというより、すごく楽しさがあったんです。 ──楽しさですか。6回1失点だった第1戦後は悔しさが見え隠れしましたが。 山本 やっぱり試合は勝ったけど、僕の投球が勝ちにつながったわけではないというか……。最低限のピッチングはできましたけど、もっとできたんじゃないかな、という悔しさもあったんです。もちろん、日本シリーズですし、チームが勝ったので良かったんですけど。 ──フォームを修正し切れなかったとも言っていました。それは状態の悪さだったのか、それとも緊張からなのか。振り返れば原因はどこにあると考えますか。 山本 あのときは……。実は試合前・・・
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週刊ベースボール